初デート


久しぶりにトキヤのHAYATOとしての仕事が休みだったある日。
夕方まで部屋で勉強したり家事をしたりしていたのだが、しつこい音也の誘いを断れず外出する事になった。

一応サングラスはかけていたものの、すらっとしたモデル体型のトキヤと人なつっこい犬のような雰囲気の音也の2人連れは目立つ。
そんな中、人ごみに疲れを増したトキヤのために音也が飲み物を買いに離れた時、トキヤをナンパしてきた男がいたのだ。
音也が駆けつけて追い払ったのだが、音也は怒り心頭、プリプリと怒っていた。
「もう、気をつけなよ。トキヤは美人なんだから」
「何を言っているんですか、あなたは」
「だって、俺のトキヤがあんな男に!」
「何もなかったじゃないですか、ただ声をかけられただけで」
「な!ナンパされてたんだよ?!」
「ナンパ・・・ですか?ただ道を聞こうとしただけですよ、きっと」
「もう!自覚が足りないよ!今度から、そばを離れるのやめよっと」
「何バカな事を言ってるのですか」
「バカでもいいもん。トキヤを取られる方が嫌だし・・・もう手貸して!」
音也はそう言うと、トキヤの右手を自分の左手でしっかり繋いだ。
「ちょ・・・何して!」
「いいじゃん、ちょっとくらい」
「いい訳ないでしょう。離しなさい」
「駄目」
「人前でこんな事するなら二度とあなたと出掛けません」
「うっ」
「もう一度言います。離しなさい」
「トキヤの意地悪・・・」
2人の手が離れる。
ほんの少しの短い時間繋いでいただけなのに、相手のぬくもりが残っている気がしてちょっとだけ寂しく感じた。
「ねぇ、ここで駄目なら早く部屋に帰ろう!」
音也がそう言って来た道を戻り始める。
「ほら、早く!!」
「あなたが無理矢理出掛けようと言ったくせに・・・」
トキヤははぁとため息をつきながらも、音也の後を追って歩き出した。
その顔には呆れ半分、照れ隠し半分。
ほんのり赤くなったトキヤの顔が可愛くて、振り返った瞬間音也はダッシュでトキヤの隣に並ぶ。
「もう、トキヤ可愛い顔禁止!」
音也は、トキヤをがっちりガードしながら寮までの道を帰った。
2人の初デートは、こうして早々に終わりを告げたのだった。


Happy end・・・?


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