「ただいまー」
疲れて帰って玄関の扉を開けると、玄関には膝を抱えてぐすぐす泣いているランボがいた。
「隼人さん、帰って来た〜」
「あ?」
1晩中泣いていたのか、目は腫れあがりいつもより不細工なランボに獄寺は驚いた。
「何かあったのか?」
「だって、だって」
「…」
「昨日出て行く前に喧嘩したから帰って来ないのかと思って」
ぐすぐす泣きながらそう言うランボに「喧嘩?」と獄寺は昨日の朝の事を思い出した。
「喧嘩って…」
喧嘩というより、前の晩にヤリ過ぎて寝過ごし、自分が一方的に八つ当たりして仕事に出て行っただけなのだ。
「あー悪い。忙しくて連絡出来なかっただけなんだ。ほら、来い」
獄寺がそう言うと、ランボは裸足のまま玄関で靴も脱いでいない獄寺に体当たりするかのように抱きついた。
力いっぱいぎゅうぎゅう抱きつくランボからは、いつも優しい香りがする。
頬を寄せ合い、すりすりすると、ランボは嬉しそうに笑って「お帰りなさい」を言った。
「本当にお前は俺がいないと駄目だな」
家事全般をランボに任せっきりの獄寺がそう言うと、「そうだよ」とランボが断言する。「隼人さんがいないと生きていけないんだからね」
「はいはい」
「あ、そうだ。隼人さんお腹空いてないの?」
「そう言えば食べてないな…」
「じゃあ軽めのもの作るね」
そう言って獄寺を腕から解放しようとすると、今度は獄寺がランボを離さなかった。
「飯は後でいい。ベッドへ連れて行ってくれ」
「は、隼人さん?まだ朝だよ?」
「ばーか、今日はやんねぇよ」
獄寺はパチンと音を鳴らして、ランボにデコピンした。
「ほら、抱っこさせてやるから」
そう言って腕を広げた獄寺を、そっとお姫様抱っこしたまま寝室へ向かった。
遮光カーテンのおかげで部屋は真っ暗だ。
2人は大きめのベッドへダイブして、もぞもぞ布団を被った。
「ねぇ、隼人さん」
「ん?」
「抱きしめてもいい?」
眠たそうな声の獄寺だか、はっきり「おう」と答えた。
背中を向けた獄寺を、後ろからぎゅっと抱きしめる。
疲れと心地良いお互いの温もりに、2人はすこんと夢の中へ。
幸せな同じ夢が見れますように。






ぎゅっ










人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -