いつか、ね?


じゅわーと胃袋を刺激する音と匂いが日曜早朝の学食に広がる。
朝から食べるにはヘビーなカツや生姜焼き、それに見合うだけのキャベツの千切りや根菜のグリル焼きなど、次々と美味しそうな料理が出来上がって来る。
「おい、まだかよ〜」
お預けをくらった形の丹羽がブツブツ文句を言っていると最後に大盛りのご飯を持って成瀬がやってきた。
「お待たせしました」
「本当に待ったぜ!じゃあいただきます!」
「はい、どうぞ」
成瀬の返事を待たずに箸をつける。
「旨い!」
凄い量のおかずが丹羽の胃袋に消えていくのを、成瀬は嬉しそうに向かいの席に座って見ている。

「…そんなに見んなよ」
丹羽がボソッと言う。
さすがに穴が開きそうな程ジッと見つめられると、いくら見られ慣れてるとはいえ恥ずかしい。
「だって好きな人が僕の作った料理を美味しいって食べてくれてるんですよ?見ないでいられないでしょ」

「あのなぁ…」
「何ですか?」
「いくら人がいないからってそういう事言うなよ」
「僕は自分の気持ちに素直なだけですよ」
「………」
「?」
「お前って時々ヒデに似てる」その言葉に成瀬は眉を寄せて不快感を露わにする。
「そ、そんなに怒る事か?」
剣呑な表情の成瀬に丹羽は恐る恐る尋ねる。
「そりゃ怒りますよ」
「ヒデもそう悪い奴じゃ…」
言い切る前に、成瀬は椅子から腰をあげ丹羽の方へ身体を寄せると、無理矢理顔を掴んで唇を奪う。
丹羽は驚きのあまり、抵抗も出来ない。
思う存分口の中を蹂躙された丹羽が息を上がらせるとようやく唇が離された。

「成瀬、お前っ!」
「あなたが悪い」
「何だと!」
「ヒデ、ヒデってあなたは俺のものでしょう?せっかく2人きりで居られるのに他の男の名前なんて聞きたくありません」

「……」

「………」

食堂に沈黙が訪れる。

「も、もしかしてヤキモチとか…」
「もしかしなくてもそうです。だいたいその呼び方も気に食わないんですよ」
「はぁ?」
「ヒデ。何であの人の事は名前で呼んで、僕の事は名字なんですか」
「なっ!ヒデはダチだし…」
「僕の事も名前で呼んでくださいよ」
「嫌だ」
「即答?」
「何が何でも嫌だ」
そんな丹羽の言葉に、成瀬は深いため息をつく。「じゃあ今は諦めます。その内嫌という程呼ばせてみせますから」
成瀬は丹羽の耳元で囁く。

「ベッドの中で」

そのままちゅっと耳朶にキスすると、サラリと身を翻して「朝練に行ってきます」と食堂を出て行った。

その後、食堂に顔を出した俊介が丹羽の前にあるおかずを掠めとるまで丹羽は顔を真っ赤にして固まったままだった。





Happy end?






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