降りしきる雨。
部屋でボーっとテレビを流し見していたから気付かなかったけど、いつの間にか降っていたらしい。
テレビの音がなくなると、結構な雨音がする。
どさり、どさり。
これだと外に出るのは無理か…。
もう窓を開けて確かめる気も起こらない。
獄寺は大人しくベッドに潜り込んだ。
雨音が煩くてなかなか寝付けなかった獄寺がウトウトし始めた頃、枕元に置かれた携帯が控えめに音を奏でた。
大好きな人からのみの、着信音。
急いでみると、メールが届いたという知らせ。
「凄い雨だね。大丈夫?」
以前雨の音が煩くて眠れなかったという話をした事がある。
それを覚えてくれていたのだろう。
「大丈夫です!でも、あなたに会いたくなりました。会いに行っても良いですか?」
即返事を出したら、すぐに返事が返ってきた。
「駄目」
その返事を見た瞬間、気持ちがズドンと落ち込んだ。
確かに、こんな時間にいきなり家に押しかけるなんて非常識にも程がある。
でも、ツナに抱きしめられながら眠れたら、どんなに幸せだろうと思ってしまったのだ。
「こんなに寒いし、雨も強いし、獄寺くんが風邪ひいたりしたら俺嫌だからね!」
メールの続きには、そんな文章が綴られていて。
獄寺の心は温かいミルクを飲んだように、ふわりと綻んだ。
「明日雨がやんだら、すぐに会いに行くね」
だから今日は別々でも我慢。
ツナも自分に会いたいと思ってくれているのが、嬉しくて。
「待っています」
その一言を返すのが精一杯だった。
まだ外は、激しい雨。
でももう、雨音なんか気にならない程、自分の胸のドキドキする音の方が大きい。
早く明日になれば良い。
早く雨があがれば良い。
そう願いながら、獄寺は今度こそ眠りについた。
Good night & Happy end