short | ナノ


若干NL注意


「俺と!」

「私と!」


「「付き合え!」」


それは部屋で言われた、男前な台詞。



「……………はぁ?」



幼なじみの、一言でした。

「…………待て、待て待て待て」

「んだよカナコ、てめぇ一緒に言うんじゃねぇよ」
「うっせーよギンジ、お前男だろ、引け、ここは女に華を持たせろ」
「あぁ?普段女扱いすんなっつーくせに何言ってんだてめぇ」
「それはナツ限定だ、ナツは私の嫁、以上」
「ナツは俺の嫁に決まってんだろーが」
「は、ヤってもお前とナツじゃ子供できないだろ、その点私は何人でも作れるからな」
「ぐ…っ、……だけどな、俺はナツを目茶苦茶に出来るんだぜ?てめぇに無いもんついてるし」
「う…っ、ナツ、ナツ、ヤるならどっちが良い?やっぱり女だよな?」
「ナツ、女より俺の方が天国見せてやるぜ?」


「……………そもそも、意味がわからない」

読んでいた本をベッドに放り投げて、とりあえず二人を見据えた俺。
はっきり言って、急すぎる展開に頭は正常に作動してない。

「話をまとめてくれ、頼むから」
「俺とカナコがナツを好きって話と、」
「ナツが私とギンジ、どっちの嫁になるかって話だ」

美男美女が自信満々にこちらに笑いかけている。

……なんだ、それは。


「ギンジ」
「今更、男だ云々言うんじゃねぇぞ」
「違う、そもそも俺でいいのか」
「お前以外いねぇよ」
「俺もお前以外は嫌かもしれないけどな」
「ナツ、」
「で、カナコ」
「今更、女がハシタナイ言葉使うな、とか言うなよ」
「違う、お前も、俺でいいのか」
「当たり前だ、ギンジと対等に見ろよ、女扱いするな」
「女扱いくらい、させろよ」
「ナツ、」


「無理だな、俺には、どっちかと付き合うのは、無理だ」

男だから、女だから、そういうことで付き合うのを決めようとは、思わない。

ただ、ギンジは俺より断然男らしいし、俺なんかと付き合わなくても、それこそ男女問わず綺麗なひとと一緒になれるだろう。
カナコも口調は荒いが綺麗だし、冴えない俺よりも、むしろギンジのようにしっかりとした男と、付き合ったほうが今後も安泰だ。

それに、何より。


「お前ら、どっちか一方と俺が付き合ったら、離れていくだろ」

一人にさせることなんて、耐えられない。

俺達は三人で、ずっといたんだから。

「「ナツ……」」
「そういう訳だから悪いな、お前等とは付き合え、」


「「じゃあ二人とも付き合えばいいんじゃないか?」」


「…………あ?」

待て、また変な方向に進んでる。
二人とも付き合う、ということは。

「カナコが彼女」
「ギンジが彼氏」
「「で、ナツは嫁」」
「…………俺は両生類か」


ある休みの日。
俺には恋人がふたりできました。




(ナツのファーストキスは俺のだ)
(私のに決まってるだろう)
(わり、兄貴と姉貴にもう何度かされてるわ)
((!?))


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幼なじみ→平凡男前。
BLサイトなのにNLも入っててすみません。
でもカナナツでもナツが受けです。
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