シャルトリューと朝食 | ナノ



「で?結局お前は、何を言いたいわけ」

街頭も疎らな古びた公園は、先程歩いた道とは少ししか離れていなかったはずなのに。
こんなにも、暗い。

「博之」
「…」
「博之、」
「…別に」
「良いから、言え」

苛立った様に、博之の胸元を掴んで、引き寄せる。そう変わらない目線も、少し俯いた博之には関係なかった。
逃げたい。でも付いてきたのは自分。自分の意思で、付いてきたはずで。

これが最後なのかもしれないと、常々思っていた。
でも本当の本当に、これが、最後、なのかもしれない。


「なぁ、俺たちの関係って、何だよ」
「…はあ?」

雑踏の中で言った台詞。そのままを零す。
目線を合わせれば、整った男の顔が、みるみる不機嫌に歪んでいった。

「…じゃあお前は、何だと思ってんだ」
「……わかんねぇから、」

聞いてる、と続けようとすれば、そのまま唇に噛み付かれる。痛みを感じる前にそれは離れ、強く、胸元を押された。

「言え」

博之が少しだけ離れた距離から睨めば、聖もまた、睨みを利かせた。

「どこから、何が引っ掛かってんのか、全部吐け」

再び詰め寄られて、迷う。言って、男の傍を離れることになるのは、少し、きっと少しだけ、辛い。でもこのままの方が、辛いのかもしれない。
そう思えば、自然と口は、動いていた。

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