女装少年シリーズ01 | ナノ


清純少女=女装少年
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「あの…失礼します」

遠慮がちなノックと共に部屋に入って来たのは一人の少女だった。黒い瞳に長い黒髪、そして白いワンピースからは華奢な手足が覗いている。決して派手に着飾ってはいないが、その分少女自身の美しさが際だっていた。

「はじめまして。本日はご指名ありがとうございます。短い時間ですが楽しんでいって下さいね」

少女はソファーに座っていた男の隣に腰掛けると、微笑みを浮かべて挨拶する。部屋に入って来た時から一挙一動に目を奪われていた男は、間近に見た少女の可憐な笑顔に顔を赤らめて俯く。しかし、直ぐにほっそりした白い指が男の顎に掛かり何事かと顔を上げる。

「もっと私に顔を見せてください、せっかく二人きりになったんですから、ね?」

少し甘えた声音と上目遣いに、男は一人顔を赤らめたまま悶えていたが、堪らず少女の身体を抱きしめてしまう。思わず可愛い悲鳴を上げて身を強張らせた少女だが、男が抱きしめるだけで特に何もして来ないと分かると身体の力を抜き、男に身を委ねた。男は少女の髪や身体全身から漂う甘美な香りに恍惚の表情を浮かべたまま、自分の腕の中に閉じ込めた少女をじっくり堪能していた。

やがて、終了の時間を知らせるチャイムが鳴り、男が名残惜しげに少女を離してソファーから立ち上がると、僅かに乱れた髪を整えながら男の顔を見上げた。

「残念ですけど今日はもうお別れですね…。また私に逢いたくなったら指名して下さいね。私は何時でもこのお店で待ってますから」

微笑んで一礼する少女に見送られ、男は部屋を後にした。途端に少女の纏う空気が変わった。

「男って馬鹿だよなー…騙されてるって気付かないんだからさ。ふふ、俺が男だって分かったらどんな反応するんだろうな」

先程までの純粋そうな少女の雰囲気は既になく、そこに居るのは皮肉な笑みを浮かべた少年だった。

「まぁ、直ぐにばらすのもつまらないし、またあの男が来たら暫くは理想の女の子を演じてやるさ。女の子するのも意外と楽しいしな」

男が呆然とする様を想像し、くすくすと笑いながら部屋を出て、次の男が待つ部屋へと向かって行った。



[清純少女]=[女装少年]

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昔発行していたメルマガから。女装少年は大好きな設定です。



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