田島くんからメールが来た。
その内容を見た瞬間、乗ろうとしていた自転車を投げ出して走った。

















「…!あ、え…名前、ちゃん…!」

「あれ?三橋くんだ。部活お疲れ様!」
「う、ん。…あの、えと……い、一緒に帰っても、い、い!…か、な」
「あぁ、全然いいよー」



「さっきね、田島くんにも会ったんだよ」
「そ、なんだ。な…んで…、名前ちゃん はここにいる、の?」
「あ〜塾だよ、塾の帰り。もうやんなっちゃうよ。先生うざいし、隣の子はうるさいし。勘弁してほしいよ、もう。集中できないっつーの」
「が、が頑張って ね!」
「ありがとう!あーあ。三橋くんみたいな子が隣だったらなあ(授業中はいつも寝てるし)」
「え うっ」
「あははっ。冗談だって!」



「ふぁ〜。眠たーあ…ってわっ」

名前ちゃんがこけた。

「だだだだ、大丈夫っ!?」

座り込んでいる名前ちゃんに手を差し延べる。

「ごっめーん。うわ、すごい恥ずかしい」

苦笑しながら、俺の手をとる。

「…………。」
「ど、した の?」

「あはは!あははははははっ。ひ、ふっ、ふっ。あはははっ」

名前ちゃんは長い間、ずっと笑っていた。

「?、?」

「ねえ三橋くん!」
「っな、に?」
「ふふふー。いいこと教えてあげようか?三橋くんはね、実は魔法が使えるかもしれない!その手から魔法のパワーが流れ出てる気がするっ」
「え!?」

名前ちゃんの手を握っている自分の手をみつめる。

「ほん と、に…?」
「うん!だって私、魔法にかけられた!三橋くんの魔法に!

「う っ!?」
「ほんとだよ。だからきっとね、三橋くんの手は魔法の手だと思うんだ」
「名前ちゃん は、どんな魔法にかけ、られた…の?」
「……。うーんそうだなあ。…もうちょっと。もうちょっと経ったら教えてあげるよ」
「そっ か。わか、った」


「ふふふっ。あはは!あはは、はは、ははっ」

名前ちゃんはまた笑い始めた。
少し悲しそうだったけど、どこかかっこよかった。



二人の手は、繋がれたままだった。





(あぁ、私は今、君に恋してしまったようだ)