「ふわあぁ」



昨日もあいつに話し掛けられなかった。俺の根性無し…。



「阿部ー?」
「…なんだ栄口か。どうした」

俺は閉じかかっていた瞼をこすりながら言った。七組の教室に栄口がいる。毎日部活で顔を合わせている栄口だが、教室にいるというのはやはりどこか新鮮に感じる。

「なんだって随分な言いぐさだなあ」
「ん…わるい」
「…阿部が素直に謝るなんて!やっぱり何かあったんだろ!?」

栄口は大きなジェスチャーをしながら訴えた。こいつは時々外国人みたいなノリのリアクションをする。そういう時は、だいたい疲れるのだ。こちらが。


「うるせーな、早く用件を言え」
「はいはい。電子辞書貸して。次リーディングなんだ。…なーんか阿部がこのところ何故かご機嫌だったからみんなでどうしたんだ女でもできたのか?って言ってたんだけど、阿部に限ってそれはナイね。阿部って実はヘタレだし」
「…今の態度が気に食わなかったから貸さない」
「えぇー!ナニソレ!ひっでー!」





図星乙/(^o^)\