あれ、……?
ここは何処、なの。
辺りを見渡せば、黒い壁に黒い床。明かりがついていないため、辺り一面が闇に包まれていた。
立ち上がろうとするが、それは叶わなかった。
足枷がつけられていたからだ。
手錠もつけられていて、身動きがとれない。
「何、なの、これ…」
「気がつきましたか」
「っ!…レン?」
目を凝らしてみると、レンは微笑を浮かべながら此方に近づいてきた。
「…何でこんな事…」
「だってこうしておかないと、ナマエが他の奴等に取られちゃいますから」
「え…」
「大丈夫です。ナマエには僕だけいれば、いいんです」
そう言ってレンは優しく私を抱き締めた。
壊れ物を扱うかのように。
「レン…ごめん。私は、他の皆ともいたい。アイチ君やカムイ君、ミサキちゃん…それに、櫂君とも」
皆、大事な友達だから。
「だからお願い、ここから出して」
「…んで」
「え?」
「何でなんですか?僕にはナマエしかいらない、ナマエがいればそれでいい。でもナマエは…。どうして、どうしてなんですか!」
「っ、レ、ン…!」
先程とは逆に、強い力で圧迫されて苦しくなる。
「ますます、出したくなくなりました」
そう言ってレンは私から離れた。
「レン、お願いだから!」
「また、来ますね」
最後、レンは天使のような綺麗な笑みを浮かべ、部屋から出た。
愛しさ故の狂気。
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