「わあー、降ってる降ってる」
先生からの雑用も済ませやっと帰れると思い外に出れば雨がザーザーと勢いよく降っていた。
「どうしよう、傘持ってきてないや…」
遅くまで寝ていて遅刻しそうになった為、テレビなど見る暇もなくすぐに学校に向かったのと、朝は晴れていたので雨が降ってくるなど思いもしなかったのだ。
…結局間に合わず、罰として先生からの雑用をやらされたのだが。
「こうなったら濡れて帰るしか…」
「苗字さん、何やってんの?」
私が鞄を傘代わりとして自身の頭の上にやり、走ろうとすれば背後から声がした。振り返ってみるとそこには同じクラスメイトの三和君が此方を不思議そうに見ていた。
「あ、三和君。実は傘を忘れちゃって…だから鞄を傘代わりにして帰ろうと」
「え!?それじゃあ濡れるだろ!俺傘持ってるから、入れよ」
「そんな…大丈夫だよ!私の家ここから30分もかからないし」
「もし風邪引いたらどうするんだよ。遠慮せずに、ほら」
三和君は傘を開き、少し強引に傘の下に引き入れる。
「…それじゃあ、よろしくお願いします…」
「よし!それじゃあ行くか」
三和君はニカッと笑いながら進んだ為、私も遅れないように歩く。
三和君って意外と強引なんだな。でも何でだろう、不思議と嫌じゃない。
それが恋と知らずに。
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