私は自分が大嫌いだ。
行動力は無いし、よく転んで書類等をぶちまけたりするし。
おかげで皆に迷惑をかけてばかりだ。


「はぁ…本当、どうにかならないのかな…」

「何が?」

「それは自分のって、兵長!?」


いきなりテオ兵長から声を掛けられ、足がもつれて体が傾く。
転んじゃうと思い目を瞑るが、突然グイッと腕を引っ張られた。


「…え」


おそるおそる目を開くと、目の前にはテオ兵長の服……簡潔的に言えば兵長の胸に収まる形となっていた。


「はわわわ!す、すみません兵長っ」

「…別に気にしてない」


私が慌てて離れれば、兵長は何故か少し残念そうにしていた。


「ところで、さっきの」


「あ…。いえ、その、…自分のせいで皆さんに迷惑をかけているから、それで…」

「…はぁ。…ナマエ」

「は、はい」

「誰かに、お前は迷惑だ、役立たずだって言われた事ある?」

「…いえ、ないです…。でもそれは皆さんが優しいから言わないだけじゃ、」

「ナマエは、本当にそう思ってるの?」


兵長のいつもと違う恐い雰囲気に思わず怯んだ。


「言っとくけど、此処は仕事に関して甘く見るなんてしない。役に立たない奴等なんて戦力にならないし、いるだけ無駄だから」


「…はい…」

「……はぁ。俺の言ってる事、わかる?」

「はっ、はい!」

「わかってないじゃん。つまりはさ、ここにいられてるってことは役に立たないと思われていないってこと」

「え…、ほ、本当ですか!?」

「だからさっきからそう言ってるでしょ」

「そっか、良かった…っ」


「っ!? 何で泣いてるの」

「す、みません、嬉しくて、つい」


泣いちゃダメなのに、目から溢れる涙は全然止まる気配が見えない。
すると、頭にポン、と温かさが伝わってきた。


「兵、長」

「…俺はナマエの泣いてる顔、好きじゃない。だから、笑ってよ」


兵長の言葉に即座に涙を拭き、微笑むと兵長も小さく微笑んでくれた。
普段無表情で全く笑わない兵長の微笑みに、少し胸がとくんと鳴った気がした。




僕には君が必要だから。









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