「アルゴス、どこにいるんだろ?」
初めての地上にはしゃいでいたせいか、いつの間にか離れていたようだ。
きょろきょろと辺りを見回しても、やはり探している人物はいない。
「…どうしよう」
私はずっと海の中にいたから、地上を知らない。
「……う、ひぐ…」
ついには涙も出始め、泣いても何も変わらないと理解していても止まってくれない。
「ねぇ、君」
突然の声にびっくりしながら顔を上げると、鎧の男性が不思議そうにこちらを見ていた。
「どうして泣いているんだい?」
「……一人になっちゃって、寂しいの…アルゴス、絶対心配してる…」
「そっか…。それなら、俺も一緒に探すよ!」
「え…?いいの?」
「もちろん!こんな所で女の子を一人にしておけないからね」
ニコッと人懐っこい笑顔を見て、さっきまでの不安は徐々に無くなっていった。
「君、名前は何て言うの?」
「ナマエ!」
「いい名前だね。俺はガルモールっていうんだ」
「ガルモールさん、かっこいいお名前!」
「ありがとう」
「ガルモール」
そのとき。
違う男の声が聞こえ、見てみれば綺麗な金髪の男の人と、その後ろにも二人の男の人がいた。
「いきなりいなくなったからびっくりしたぞ」
「ごめん。でも、この子一人で泣いてて放っておけなかったんだ」
金髪の人は此方をじっと見つめ、何だか少し恐く感じてガルモールさんの後ろに隠れる。
「この人たちはね、俺の仲間なんだ。だから恐がらなくても大丈夫」
「仲間…?」
「うん」
ガルモールさんからそう言われ、隠れるのをやめて改めて金髪の人に視線を向ける。
「恐がってごめんなさい。私はナマエっていうの」
「…ブロンドエイゼル。エイゼルでいい」
「エイゼルさん」
名を口にすれば、エイゼルさんの表情が少し和らいだ気がした。
「後ろにいるのはペリノアとガレスだよ」
「ペリノアさん、ガレスさん」
二人はよろしくといって、それぞれ握手を交わす。
「それじゃあ、君の探し人を見つけなきゃね」
「うん」
ガルモールさんと手を繋ぎ歩き出す。
すると、空いていたはずの左手に温かくて少し硬い感触が伝わってきた。
見てみたら、エイゼルさんが私の手を握っていた。
「…嫌だったか?」
「ううん、そんな事ないよ!すごく嬉しい」
するとエイゼルさんは目を細め、笑みを浮かべた。
綺麗な笑顔に、少し胸あたりがとくんと高鳴った、気がした。
「ナマエ様ーっ!!」
すると後ろの方から聞きなれた、探していた人物の声が聞こえ振り向く。
「…ア、アルゴスーっ!」
嬉しくなってすぐにアルゴスのもとに向かい走りだし、思いっきり抱きついた。
「ごめんなさいナマエ様ぁああ!私が不甲斐ないばかりにぃいい」
「アルゴスううう!寂しかったよぉお!」
「あああ、本当にすみませんん、でも、無事で良かったですううう!」
二人涙で頬をぐちょぐちょに濡らしながら抱き合う姿を見て、四人は苦笑を漏らしていた。
「本当何とお礼を申し上げればよいか…」
「いやいや、そんなお礼なんて。良かったね、ナマエ」
「うん!」
「それじゃあ俺達はそろそろ行きます」
「本当にありがとうございました!」
四人が手を振ってくれたので、私も力一杯手を振った。
「ねぇ、アルゴス」
「はい。何でしょうか?」
「私、…エイゼルさん達にまた会いたいな」
するとアルゴスはポン、と手を乗せ、
「大丈夫。またいつか会えますよ」
優しい笑みで言い、私はまたエイゼルさん達と会える未来に思いを馳せた。
またいつか会える日を。
(楽しみに待っています)
*
リクエスト作品。
かなり遅くなってしまいすみません!
しかもちゃんとリクエスト通りになれたかどうかも怪しいですね、本当にすみませんorz
リクエストありがとうございました!^^
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