「ねえテオ君」


「何でしょう、ナマエ様」


「呼んでみただけ!」


ナマエはニヒヒといたずらが成功した子供のような笑顔でテオを見る。


「そうですか。…ナマエ様」


「ん?何?」


「呼んでみただけです」


仕返しだと言わんばかりにテオは普段見せない微笑みをナマエに向ける。


「むー、騙されたっ!!」


ナマエはプーッと頬を膨らまし、ふとテオを見つめる。


「どうしました?」


「テオ君って…実はかなりかっこいい?」


「え?」


いきなりの発言にテオは目を見開き驚いた。


「ずっと帽子を被っていたからわからなかったけど、…帽子とったらモテそう」


「そんな事ないと思いますけど…」


「一回帽子とってみてよ!」


ナマエはテオの被っている帽子をとろうと手を伸ばす。
が、それを拒むようにテオはその手をから逃れようとする。


「え、ちょ、ナマエ様…うわ!」


「きゃっ!」


ナマエはバランスを崩し、テオに倒れこむ形になり、テオもいきなりの事だったからか、受け止められずナマエの下敷きとなった。


「ご、ごめんテオ君…大丈夫?」


起き上がろうとするナマエだったが、それは叶わず。
テオがナマエの背に手を回し、抱き締める形となっていた。


「テ、テオ君?」


「…すみません、ナマエ様…少しだけ、このままでいさせてください…」


ギュッと抱き締める力を強くし、ナマエも内心いつもと様子の違うテオに心臓をバクバクさせていた。赤くなっている自身の顔を上げれば。


「…やっぱり、かっこいいね」


帽子は今の衝撃でテオの頭から離れ、隠していた顔が露になっていた。


「帽子、とった方がいいと思うよ。絶対モテるのに」


「……俺は、別にモテたくありません。ナマエ様さえいてくれれば、俺は―…」


コンコン。
テオの言葉を遮り、ドアのノック音が響いた。


「ナマエ様、失礼しま―…」


ドアが開き、ナマエの従者…アルゴスはナマエ達の姿を見て固まった。


「あ、アルゴス」


「……チッ」


「な、ななな、何をしているんですかあああ!!」



このアルゴスの悲鳴はアクアフォース中に響いたという。





貴女がいてさえくれれば。






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