「死ぬなら、リヴァイの手で逝きたいな」
物騒なことを言い出す名前の表情はいつもと変わらぬ、何を考えているか分からない間の抜けたものだった。
いや、実際何も考えていないかもしれない。
「…名前、その冗談は笑えねぇからやめろ」
「結構本気なんだけどなあ」
名前は困ったように笑い、俺の手を取って自身の胸に当てる。
そこから心臓の音がトク、トクと規則的に手に伝わってきた。
「もし私が使い物にならなくなったらここをひと刺しして欲しいの」
「嫌と言ったら?」
「お願い。これはリヴァイにしか頼めないことだから」
嬉しい言葉なのに、内容が内容なだけに素直に喜べない、複雑な心情だ。
「……わかった」
そう言えば、名前は「ありがとう」といって手を離す。
感じていた心臓の音が止み、名前の温もりだけが手に残った気がした。
もし、名前の左胸にある源を刺せば、この温もりは消えてしまうだろう。
今まで自分を癒してくれた心地よい温かみが一瞬にしてなくなる。
「…だがな、お前が使い物にならないなんて事は絶対にねぇからそれは無駄な願いだ」
すると名前は驚いたように目を点にした後、すぐに微笑み、
「馬鹿」
「お前だけには言われたくねぇよ、大馬鹿野郎」
殺さない、お前だけは
(絶対に守り通して見せる)
―――
リヴァイ兵長イケメンすぎてどうにかなりそうです