(あったかい…)


何故か腕枕をしてもらうという体勢で一つのベッドに収まる俺達。

重くないのかなぁ、なんて頬に当たる二の腕はほどよく筋肉がついていて気持ちよい。


橋本の温もり。

同じシャンプーの香りに混じった彼の匂い。


そう


心地好いんだ


橋本の隣は。



好きだと意識すると、橋本の全てがキラキラと光り出して、胸が高鳴る。



(好き)

(好き)

(好きだよ)

(気づけ、ばぁか)



そんな視線に気づくことなく、横ですやすや眠る橋本。

薄く開いた唇から規則正しい吐息が漏れている。



(キスできそう)



なんて思った矢先、いきなり頭を引き寄せられ、橋本の端正な顔が近づく。



「ん…」

「……ッ!?」



ふにゅり。


優しく


唇が、当たった。



(こいつ起きてるのか?!)



慌てた俺は顔を真っ赤にして距離をとる。

しかし、橋本がぐっすり眠っていることは次の言葉ではっきりとわかった。



「はし、」


「きみさわ…せん、ぱ……」



そう呟いた橋本の頬に一筋の涙が流れた。



「…………」



胸が


苦しい



(俺にどうしろっていうんだ)


君沢忍は死んだ。

俺は君沢忍であって、君沢忍ではない。
こいつが俺に気づくことは一生ないだろう。

君沢忍を好きでいてほしいけど、天草忍を好きになってほしいなんて、そんな欲張り


罰が当たる。



(そりゃ、フラれるわな)



寝言で他の人の名前を呟いてしまうなんて。


(ばぁか)


橋本の涙を拭って、君沢と呟いた唇にキスを落とす。



二度目のキスは塩辛かった。



俺は橋本にキスをした。



そんなこと、誰にも言えるはずもなく。









セカンドキス



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