同室者が出かけているということで泊まりに来ればと誘われて来た伸二の部屋。
「え」
何故か俺は伸二のベッドに横たわっていた。
目の前には部屋の主であり恋人の伸二が。
「しのぶ…」
「ちょ、伸二ッ」
情欲に塗れた瞳。
唇が瞼に残った雫を吸い取り、頬、首筋へと辿る。
金色の髪はまだ湿っていてシーツに染みを作っていた。
シャワーを浴びたからだ。
伸二が「お前、汗くさい」と風呂を促すものだから仕方なく入ったが、その理由がわかった気がした。
「伸二、セックスしたいの?」
「ッ、おま」
「違うのか?」
まっすぐ伸二を見つめて尋ねれば、いきなり股間を握られた。
「ッっ!」
「なんだよ、お前だってたまってんだろ」
「や、」
伸二が機嫌を損ねたのがわかったが、俺にはどうしようもない。
荒々しく下半身を暴かれ、乱暴に擦り上げられた。
「ん、ぁぁッ…」
呼吸が、乱れる。
「ほら、お前だって勃ってんじゃん」
伸二は鼻で笑い、その下の窪みを指で撫でた。
「ぁ…」
身体が跳ねる。
誰にも触られたことのないその部位。
(感じるに決まってるだろ)
(好きな奴に触られれば…)
その言葉は口から出ることはなかった。
伸二はベッドサイドから手の平サイズのボトルを取り出し、中味をそこに塗り付ける。
(ローション…)
男だけという不思議な環境にいれば嫌でも入ってくる男同士の性行為の知識。
伸二も知っていることに少なからず驚いた。
「は、ぁァ…ッ」
「きつ…おま、もう少し力抜けって」
「んん」
にゅくにゅくと内側を探られ、快感に翻弄される中、徐々に膨らむ伸二の一物が目に入った。
「伸二、も…」
「!!」
伸二のペニスを取り出し、ゆるゆると撫で上げる。
「……っ」
(よかった…反応した…)
同じ男だからどこが性感帯かある程度わかる。
たとえ性欲処理の相手でも女ではなく、面倒な男である自分を選んでくれたことが嬉しかった。
伸二は婚約者がいるから。
「も、入れるぞ」
「…うん……」
「はぁ、ッ」
「だから、緩めろって…ッっ!」
「んっ!?」
尻穴から腸内に何かが流れていく感覚。
「え…?」
「くそっ」
伸二は荒々しく声をあげ、舌打ちをする。
俺は驚いて自分の尻から零れる白い液体を拭った。
「伸二、イっちゃったの?」
「だから緩めろっていったのに…ッ」
怒鳴られた。
(怒らせてしまった?)
顔を真っ赤にした伸二は身支度を整え始めている。
性を吐き出すという目的を果たしたのだから当たり前か。
別に伸二は俺とセックスをしたいとは一言も言っていない。
一気に血の気が引いた気がした。
慌てて伸二に掴みかかり、しまいかけていたペニスを取り出す。
まだ吐き出されたばかりの白濁を躊躇なく舐め取ると、口いっぱいにソレを含んだ。
「しのぶ?!」
「俺がもう一度勃たせてやるから、入れろよ…ッ」
「…は?…ッ!」
フェラなんてしたことなかったけれど、喉奥まで突っ込んで足りない部分は両手で擦った。
(伸二に男は使えないって思われるのは嫌だ…!)
そのあとは無理矢理伸二に挿入させ、事は終わった。
それが俺の初体験。
あの頃の俺はまだ幸せだったし
伸二との幸せな未来を夢見ていたんだ――…
キミが、はじめて