腐った兎 | ナノ
22
ゆっくりと、でも待ってくれている龍硫くんのことを考えたらそんなに長風呂する訳もいかず…大事な大事な部分をしっかりごっしり洗って湯船にちゃぽんでお風呂は終わり。
いつもどおりの龍硫くんを見たからか安心してお風呂場で寝そうにはなったけど、でも、風ひくなんて嫌だし、龍硫くんを待たせてブラックになったら嫌だしで無理やり覚醒モード。
あ、そういえば羊子ちゃんが龍硫くんのことなんか言ってたよなぁ…でも、今日中(に入るかな?)に帰ってきたし、無効だよねぇ。めんどいしぃ。
…やっぱ怒られるの怖いし、部屋に戻ったら言おう。
そんなことを悶々と考えながらお風呂を出ると、龍硫くんが待つリビングへ。
「お待たせー」
「お帰りなさい。…どうかしました?」
「いやー…なんか夫婦みたいなやり取りだよなぁって思って」
「…今日の優兎さんってなんか優しいですね」
うん、なんか龍硫くんの思考はおかしいままみたいだけどね。
「あ、そう言えば源山さんが、月曜の朝会いたいって言ってましたよ」
「申一くんが?なんだろ…」
申一くんに呼ばれる用事って、親衛隊に新しい子が来たとか、オレ欲求不満が溜まったときに新しい子を見繕ってくれる日とかだし、でもでも今は誰彼構わずヤろうって思うほどでもない気がするし…んー分かんないけど。
「まーいーや。夜も遅いしごーとぅーべっどしよー」
眠くないよ、ちょっと呂律が回ってないのは、ええと、うん、眠いからだ。
龍硫くんと寝室に向かいながら、誰にともなく言い訳していると龍硫くんはくすくす笑っている。
「そんなに無防備だと、食べちゃいますよ?」
「あはは面白い冗談だねぇー」
龍硫くんがオレをぱっくんなんてありえないよね。オレはネコとかご勘弁。
でも、龍硫くんがそんなこと言うなんてちょっと意外かも。
会長とかなら言いそうだけど。
「冗談なんてひどいですよ」
「えー冗談じゃないのー?俺ネコとか無理―」
「言うと思いました。でも、僕も男なんでどちらかと言うと…」
「わー、龍硫くんがそっち系の話に乗るとかびっくりー。でも身の危険を感じちゃうからそろそろやめてねぇ」
「はいはい」
…なんかブラックまでは行かないけど、今日の龍硫くんはSっけあるなぁ。
ノリは良いんだけどー…
「…冗談です」
オレが難しい顔をしていると、困ったように龍硫くんが言ってきた。
ほーらやっぱりねー。
オレをビビらせようなんてもう意地悪なんだからー。
…実際そうだったらどうしようなんて、かなり焦ったけどね。
「あ、布団ふかふかー」
「今日相楽さんが出かけている間に干してたんです」
「さっすがー」
自室の布団は柔軟剤と天日干しはここまで優れているのかと言いそうなぐらいふわふわ天使の羽みたいでした。
「あ、龍硫くんもおいでー。それとも、枕投げでもする?」
笑いながら聞くと、龍硫くんは苦笑してオレと一緒にごーとぅーべっど。
いやん積極的―なんて、照れ照れしていると「相楽さん、」って龍硫くんに呼ばれる。
「なぁに?」
「…抱きしめて、いいですか?」
…うん?
「んー…オレが龍硫くんを?」
「逆です」
「……」
さっきのSっけ発言の後遺症で、そのままオレのバックバージンが血まみれなんておっそろしい方程式が一瞬で出来上がる頭の中。
でも、龍硫くんを見れば真剣な目で俺を見ていて、うー…なんだか断ってキレられて強姦なんて…龍硫くんに限ってそれはないかなとも思うんだけど。
「えっちなことしないなら、いいよ」
オレの男気にほれちゃうなら今のうちだよべいびー。かっこキラーン。
PreV NexT
ToP