腐った兎 | ナノ


21


…正直舐めてました。育ち盛りの高校生男子の食欲。

「…あの、相楽さん」
「んー?なぁに?」
「…もう時間も遅いですし、それ位にしておいた方が…」

恐る恐る、そういった感じに声をかけてくる龍硫くん。その視線の先には既に2杯のシチューを盛って…んで、既に3杯目になってるシチューさん。
だっておいしいんだもーん。

「明日日曜だしぃ…ちょっと夜更かししたら大丈夫だよぉ」
「そういう問題、ですか?」
「うんっ」

にっこりと笑えば、龍硫くんも笑い返してくれる。

「作った甲斐がありました。嬉しいです」

…あれ、なんか帰ってきてからブラックが消えてる?
ブラックるんるん龍硫くんは正直ちょー怖くて、お近づき?いやいやそんな、チキン野郎鶏野郎なオレには勿体無いよ寧ろあっちいっちゃって下さいな感じだったから、この空気は嫌いじゃない。

にこにこと笑いながら食事中は基本的にオレ見つめるだけの龍硫くんに、見られたまま食事を続けるオレ。
あーよかったぁ。
王道君が来る前のいつもの感じで、ギスギスした空気が一切ない食卓。
ストレス性の胃潰瘍で吐血しちゃった前例のあるオレにとっては、この環境こそ求めていたもの。

羊子ちゃんだったら『なまぬるくてサブイボでちゃーう』なんて毒舌かましそうな感じだけど。
あーでも…確かに、そろそろオレも愉しい愉しい趣味に走りたいなぁ…フラストレーション溜まってるしぃ…
親衛隊のチワワンコも、申一君が『ヤってる暇あるなら眠って下さい…!(会計様のキューティクルが死滅なんて恐ろしい…!そのビジュアルあっての会計様なんだぁぁあ!)』と、まぁ、そんな感じで近づけさせてくれないし。

「ごちそーさま」

流石にシチューオンリーとは言え3杯目になると満腹で、腹の感じも眠気を誘ってちょこざいな…!って感じなんだけど。

「お粗末さまでした。お風呂溜めてますけど、どうします?」
「おーさっすが龍硫くーん。勿論入るけど、一緒に入る?」
「え?」

…あれ?
なんだか固まってる龍硫くん。
おっかしいなー。

龍硫くんって多分俺のこと大好きだから、食いついてくれると思ったんだけどなぁ。
まぁ、オレも龍硫くんほどではないけど優しいし?
同室だからめんどくさくなるのは嫌だけど、裸の付き合いぐらいならオレのために家政婦仕事やってくれてるご褒美代わりにしてあげようと思ったんだけど。ノリわっるー。
大ブーイングなオレの心の中。

え、違うよ?欲求不満だから龍硫くん食べちゃえなんて節操無しじゃないよオレ。
申一くんが進めてくれる性病心配無しの子じゃないから扱き合い位で終わらせてあげても良いしー…あ、身長がちょこっとだけ高いし基本男前な龍硫くんだけど、笑ったときは可愛いし、全然許容範囲だし!
あ、でも会長とか委員長にバレたらめんどくさいなぁー…
脳内ピンク(8割紫)お花畑なオレの事情を知ってるのかいないのか。

「…お断りします」
「え、」

う、嘘だ!こんなフェロモンむんむんなオレの誘いを断るなんて、まさか龍硫くん…イn

「その代わり、一緒に寝てくれませんか?」

…いやんえっちー。

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