※桜蘭連載夢主デフォルト名注意!




「チョコレート?」
「あれ、今日バレンタインだよ?」


チョコを渡したら返ってきたまさかの返答に、差し出したハルヒは思わず疑問系で返した。

2月14日バレンタイン。
学校では当日どころか一ヶ月も前からその話題で持ちきりで、ホスト部ともなると愛用のベンツどころかトラックがいる一大イベントなのだが。

レンのことだから部活が始まる今までに山になるまでもらっていると思ったのに、日頃授業に出ていないのも助けてか彼は身軽でまるでもらったような形跡がない。比べて、他の部員はチョコレートを乗せた車がすでに一台は自宅に帰っている。

というより、彼はバレンタインにチョコレートを渡すこと自体を知らないように見えた。今まさに小首を傾げているのが何よりの証拠だ。


「バレンタインってチョコレート渡すイベントなの?」
「え、甲斐田くんもしかして…」


自分で言うのもなんだが、自分よりこういうことに関して関心がないとは意外だった。とハルヒは思った。


「「バレンタイン知らないのレン!?」」
「ぐえ」


左右両側から潰されたレンはうめき声を上げた。肩を組む光と馨は両側からレンの頬をつつく。


「まさか僕らに数が負けるからって知らないふりしてる?」
「冗談言ってないでチョコレートいくつもらったのか白状しなよ」


ニヤリと笑う双子とは反対に、レンは珍しく不機嫌そうに頬に空気を貯める。両頬を押され、ぷす、と音を立てて頬袋がつぶれた。


「もらってないしそんなの知らない」
「え、マジで?」
「レン、まさかとは思うけど今まで一個ももらったことないの?」
「ない」


言い切ったレンから双子は大げさに驚いて離れた。レンって意外とモテない…?とレンが聞いたら失礼な話を繰り広げる。
当の本人はまったく気づいていないようで、驚いている部員を不思議そうに眺めた。


「バレンタインってそんな行事?」
「日本ではそれが主流だな。元々は製菓会社の商品戦略からだが、全国に定着し今では本命から友チョコまで沢山の種類がある」


貰ったチョコレートを運ばせながら、鏡夜は淡々と説明する。


「ほぉ〜…新しい知識ありがとうきょーちゃん先輩。俺バレンタインって男が女の子に薔薇の花を贈る日だと思ってたけど、」
「おお!レンも欧米スタイルなのだな!やはり紳士たるもの女性から貰うとはいかがなものかと思うんだが…思うんだが!時にハルヒ、どうしてお父さんにはチョコがない…」
「それでもさ」


聞こえていないのかそれともわざとか、レンは環を無視してどこからか赤い薔薇の花束を取り出した。
驚く部員をよそに、一番近くにいたハルヒに花束を手渡すと、レンは歯を見せて笑った。


「大切な人に愛を伝える日、それは変わんないんだよな」







for you!
(君に日頃の感謝と愛を込めて、この花を贈ろう)


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