novel09 | ナノ

天上の花



辺り一体に咲き誇る満開の赤い花
航海の途中に立ち寄った島の片隅に群生していた彼岸花。
元々はワノクニ特有の花らしく、初めて見るそれに物珍しさもあって男は思わずその場に立ち尽くす。


燃え上がるような、それとも天に向かって手を伸ばしているような、そんな風にも見えるこの赤い花を見ていると誰かの影が脳裏によぎる。
聞けば毒を含んでいるそうで、これを食べた後は「死」しかない、だから彼岸花と言われる所以がある一方で、別名を曼珠沙華ともいい"天上の花"という意味もあるらしい。
無神論者の彼に仏だの神だのといった違いについてはさほど興味のない話ではあったが、死神に愛されたにせよ、神に愛されたにせよたかが花一つに仰々しいと思いつつも、燃え上がるような禍々しい赤の群生は男の足を留めるには十分だった。




眼前に広がる赤に 彼の脳裏に浮かぶ思いは



ああ、今すぐ彼に、あの赤に、燃え盛る赤に





会いたい







ただ、それだけ。





ツイッターでやってた即興小説トレーニングより
お題:天国の作品 制限時間:15分 文字数:422字



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