If Story

▽ side美智*


「続きしよう、葵」

彰吾に抱かれた葵はソファの上でぐったりと脱力している。その髪を撫で呼びかけると、向かいから“鬼”と美智を揶揄する笑い声が聞こえてきた。美智が止めなければ、また放課後まで葵を貪り続けそうだった男に言われたくはない。

「起きてるんでしょ?おいで」

もう一度呼びかけてようやく葵はノロノロと体を起こした。かろうじて肌に引っ掛かるシャツから覗く白い肢体は、ほんのりと上気している。

「さっき教えたこと、実践してみようか」
「……ん」

ベルトを外し、見せつけるようにスラックスから昂りを取り出せば、葵は紅くなった目元にまた涙を滲ませた。

おずおずと顔を寄せ、桃色の唇をただ当ててくるだけの幼い愛撫。直視出来ないのか、瞼も伏せてしまっている。

「違うよ、葵。そんなことは教えてない。もう忘れちゃった?」

今まで優しく撫でるだけだった髪をゆるく掴み、顔を引き上げて無理やり視線を合わせる。彰吾に比べれば、甘やかすように触れることの多い美智が凄むだけで葵には十分効果があったらしい。

怯えた顔で舌を差し出し、乾いた先端に這わせてきた。丁寧ではあるが、拙すぎて性感を煽るには遠い。けれど、自分好みに仕込む余地がある事実は美智の背筋をぞくりと震わせる。

「咥えていいよ」

まるで葵が望むことかのように命じれば、穢れなど知らなそうな色の唇が美智の欲を頬張るために開かれた。

ただでさえ微熱状態の上に、彰吾に犯されたばかりの葵の咥内は期待した通りの温度だった。敏感な部分を熱く潤んだ粘膜で包み込まれれば、例え技術とは無縁の行為でも快感は得られる。

「舌当てて、吸ってごらん」
「んっ……」

指で練習させたことを指示すると、裏筋にピタリと舌が這い、ジュッと音を立てて吸い上げられる。先走りの苦味が広がったのだろう、葵の眉がひそめられるけれど、口を離しはしなかった。

「ちゃんと上手に出来てるよ。いい子だね、葵。その調子で続けてみて」
「ぁ、ん……、ん…っ」

こんな状況においても、甘やかされることには弱いらしい。耳元の薄い皮膚をくすぐり、甘い言葉をかけると、苦しさだけではない赤みが頬に差す。

喉奥まではまだ到底届かないが、張り出した部分を飲み込んで、懸命に吸い付いてくる。葵のとはサイズも形状も大きく異なる美智のものが、美しい葵の唇を出入りする様は倒錯的だ。

「がんばってる葵に今からご褒美あげる。でも、俺がいいって言うまでしゃぶり続けないとダメだよ。わかった?」

何をされるのか。美智を見上げてきた葵の視線に怯えが滲むが、瞬きで了承の意を伝えてくる。それを見届けた美智は葵の髪を梳いていた手を、胸元へと移動させた。

シャツを退け両手で薄い皮膚をまさぐるだけで、これから与えられる刺激に気が付いた葵の体が強張るのが分かる。でも言いつけ通り、美智からは口を離さない。

「ん……、んんっ!」

左右の尖りを見つけそのまま爪でピンと弾くと、上がる声をやり過ごすためか、葵の動きが止まる。

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