青空ファンタジー



イタズラな君


「だあああああああああ!!!!!!!」

「おいこら待たんかい!」




教団内を激走するルイを追いかけるのは俺、ラビ。




「ラビこえー!ってか、ぷぶ。その顔!」




ヒーヒー言いながらも足を動かし続ける彼女は、俺の顔を見て目尻に涙を浮かべながら大爆笑している。




「俺が寝てるのをいいことに!落書きしやがって!」




最終手段であるイノセンスを使ってルイの行く手を阻むと、彼女の顔色が少し悪くなった。




「え、と、ラビ…?イノセンスつかうなんて反そ…」

「そんなこと言えねえよな?」

「あ、はい。すみません。」




壁へ壁へと追い込めばルイの逃げ場はなくなる。




「…ぷっ」




顔をうつ向かせ、肩を震わしながら笑いを我慢しているように見えるが、吹き出した時点で我慢しきれてない。もちろん、周りの探索部隊や科学班からの視線も笑いを含めたものだ。


それほど俺の顔が面白いことになっている。




「化粧させるんならさ、なんで、俺。ユウでいいさ、その役目」

「ああ、確かに女顔かも…」

「それだけならいいのに、なんで眉毛繋げたんさ。なんで?」

「いや、面白いかなーって…」

「うん、確かに笑い者。俺のハンサムな顔に何してくれてんの?」

「…………………」




そんな哀れんだ目で見んな。つっこめ、何か言え。




「隙やり!」

「馬鹿か。」




どこを隙と見たのかは分からないが、逃げようとしたルイの腕を掴んで引き留める。ぐえ、なんて可愛らしさの欠片もない声が聞こえたが、一応、一応俺の彼女。




「なーんで、こんなことしたんさ」




そういうと顔をそっぽ向けて、口を尖らせた。おーいと呼び掛けてみれば、ぼそりと何かを呟いた。全く聞こえない。聞き返して見れば、彼女はこちらへ顔を勢いよく向けた。あ、顔赤い…。




「寂しかったの!悪い!?」




「…ぷっ」




あーそっかそっか。俺の任務、長かったもんな。構って欲しかったよな、会えなかった分。




「…何笑ってんのよ」

「可愛いなと思って」




更に赤くなるルイをぎゅっと抱き締める。



こういうとこ、やっぱ可愛いんだよな。




イタズラな君





(ラビよ)
(何さ)
(…その顔で目瞑って抱き締められたら…ぷっ)
(…………お仕置きでこのままな)


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