青空ファンタジー 春風が舞う頃 さらさらと風に吹かれている髪。丘の上にある一本の桜の木のふもとに、凛と佇む姿。言い始めればキリがないくらい、あなたは本当に美しい。 「ルイ…」 戦う姿も、まるで春風が吹いているかのように柔らかく、無駄な動きがない。悲しそうな、憐れむような表情でAKUMAを救済する。 「どうしたの、アレンくん」 そう振り返ったあなたは柔らかく微笑んだ。なんだか、あなたが少し遠く感じて、ふと不安になってしまう。わかってはいるんだけど、確かめないと納まらない、そんな感覚。 「僕なんかが、あなたの傍にいていんですか?」 そういうとあなたは少し、悲しそうな顔をした。 「私はアレンくんに傍にいて欲しいの」 ぶわっと風が吹き、桜が舞う。思わず目を瞑ったあなたの顔を髪が隠す。その髪をそっと耳にかけて、僕は抱きしめた。 「馬鹿なこと言ってごめんなさい。だから、そんな悲しそうな顔をしないでください」 「アレンくんがそんなこというから。…私、不安にさせたかな…」 身体を僕に預け、寄りかかる。そっと背中に回された腕に、ぎゅっと抱きしめられた。 「口に出さないと、伝わらないこともあるよね」 そっと離され、僕を見つめたルイ。あと数センチでお互いの鼻が触れるこの距離。ほんの少し、心臓の脈を打つスピードが上がる。 「アレンくん、大好きだよ」 そして、唇に柔らかな感触。 こんなにもあなたは近くにいる。遠くになんかいない。あなたは、ここにいる。 また、あなたをぎゅっと抱きしめた。 春風が舞う頃 (…アレンくん、苦しい)(…ごめんなさい)(なんか変、耳赤いよ?)(お願いですから見ないでください) back |