青空ファンタジー



ひみつごと


「せんせー頭痛いんでベッド借りまーす」


「こら仮病娘。教室帰れ。」


「生徒に向かって、帰れだなんて…!」




こいつが来るときはいつも仮病でサボるとき。見た目に反してそこそこ頭は良いくせに少々サボり癖があるところが難点だ。




「サボってないで授業でろ」


「いつものことでしょ?ティキせーんせ」




ほら、な。今日もサボりだ。週に2回は必ずここに来るがその時間は毎度ばらばら。まあなんだかんだで少し俺もこいつには甘い気がする。好きなようにしろと言えばお気に入りのクッションを抱えてベッドへと腰掛けた。




「ティキぽーん」


「…その名前で呼ぶな。先生つけろ、先生を」


「だって暇なんだもん、構ってー」


「暇なんなら授業戻れよー」


「やだー。日本史つまんなーい!」




ベッドに腰掛け足をばたつかせ抵抗を見せるルイ。こいつ、わかってんのか、自分のスカートの短さを。ただでさえお前狙ってる男ども多いのに、無防備すぎんだろ…




「ね、せんせー聞きて?」


「んー?」




保健医だとしても暇な訳ではない。事務的な書類に目を通しながらルイの話を聞く。どーせいつものくだらない話だろう。




「あのね、

私が先生のこと好きって言ったらやっぱり困る、

よね?」




思わずその言葉に手を止めた。ちらりと視線をルイに配れば、彼女はクッションで口元を隠しながらこちらを見ていた。




「……やっぱりなんでもない!今のなし!」




そう言いルイはベッドへダイブした。いや、だからぱんつ見えるって。


…じゃない、今なんて言った?

ルイが俺の事好き?




「お前さ、それ本気?」


「…本気だけ、ど?」


「へえ…」




俺はそっと席を立ちルイが寝っ転がっているベッドへ近付く。




「ルイは、さ」




つうーっとスカートから伸びている白い足に指を滑らす。




「ひぁっ」


「わかってる?」


「ちょ、せんせ…っ」




ルイは身を捩らせて逃げようとする。あーかわい。生徒に手を出すなんてバレたらクビだけどな。誘ってるようにしか見えないこいつが悪いんだ。




「お前さ、色んな男に狙われてるの」


「そ、んなの知らないよ…」




体を起こしたルイを壁へ追いやれば困惑した表情を浮かべる。そりゃそうだわな、こんなことになるなんてお互い思っちゃいなかったもんな。




「んでもって無防備だし?俺の事誘ってんの?」


「っ、そんなつもりじゃ…」


「俺の事好きになるのは勝手だけど、教師と生徒って危ないの知ってるよな」


「………え?」


「それでもいいんだったら、気持ちには答えるけど?」


「…うそだ」




前々から男どもがルイを見る目になんだか鬱陶しく感じていたのも、こうやってこいつに甘いところも気付かないようにしてきたけど、好きだなんて言われてしまえば教師と生徒なんて俺にはどうでも良くなってしまう。もう少し我慢すれば生徒じゃなくなる訳だし。




「冗談でこんなこと言えないだろ」



ふるふると目に浮かべた涙を拭ってやれば恥ずかしそうにルイは顔を俯かせる。顎をくいっと上へ向かせ、そのままキスをした。…やべえ、今の顔はまりそう。




「好きだよ、ルイ」


「っ!!」




ひみつごと



(せんせーいるー?俺怪我したんだけどー!)
((…!!!!))
(あれ、どうしたの、二人そんなに慌てて)
((なんでもない!))
(…??)


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