青空ファンタジー



幸せを噛みしめて


静かな部屋に心地よく眠っている白髪の青年。柔らかな朝日が彼の髪を照らし、キラキラと輝いている。彼の髪を邪険に扱う者も多いが、これを綺麗だと言ってくれる人物もいる。


今日は非番。

いつもなら早朝からトレーニングをしているところだが、今日は連日の任務のおかげか朝を迎えたことを知らずにぐっすりだ。


しかしそれも彼の腹の虫によっていつかは起こされてしまう。


こんこんと控えめに鳴らされたドアを叩く音。少し待って、これもまた控えめにドアが開かれた。彼は未だに起きない。



「アレン…?」



誰かに呼ばれたような気がしてうっすらと意識を取り戻すものの、瞼が開く気は全くない。



「ね、てる…?」



歩みよってきた彼女は彼が寝ているベッドへと腰かけた。普段はよく笑顔を浮かべている彼の表情には少しあどけなさが残っていた。実際のところ起きているのだけれど。


そっと彼の髪に手を乗せそのまま滑らせる。彼より先に起きることなんてほとんどない上に頭を撫でることは滅多にない。さらさらとした手触りにすこし嫉妬する。

どうしたらこんな髪質になれるの…




「……うわっ」



髪を撫で続けていたら急に手を引っ張られ、彼の胸に体を預けるように倒れ込む。



「アレン…おはよ」


「おはよう、ござます…ルイ」



普段より少し掠れた低い寝起きの声。うっすらと開いた瞳はまだまだ眠そうだ。
背中に回された腕は彼女を優しく包み込む。




「珍しいね、アレンが遅起きなんて」


「僕も、びっくりしました」


「ご飯、食べに行く?」

「ん〜…」




いつもならここで彼は目を輝かせている場面なのだが、今日は違うようだ。少し悩んでアレンはルイの頭を撫でた。




「今日はこのままゆっくりしてもいいですか?」



断る理由もなく微笑んで見せれば彼はおでこにキスを送った。そしてそのまま毛布を被せ彼女を抱き寄せた。



「好きです」

「私も好きだよ、アレン」






幸せを噛みしめて



(愛してる)
(愛してる 貴女を)







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