∴なにもむつかしくないのよ



 だから、なんていうんだろう。うたたねから戻ってきた午前10時に、誰かが呼んでる気がしたのね。そう思ったらわたし、たまらなくなって。底に白いのがこびりついてる牛乳瓶が消えて、靴下も左右別々だったけど、そういうの、どうでもよくなっちゃった。おさがりの、レモン色の褪せたエプロンのまま家を出たの。外は明るかった。静かだった。青が見たくて上を向いたら、高い高いビルが建設の最後みたいな工事をしてた。そのうち、コンタクトのところがお水でひたひたしてることに気づいて、もう落ち込めなくなっちゃって、わたし、そのままお昼ご飯の時間で工事が中断するまでずっと上を見てた。なにばかなことしているんだって、言われるなあって知ってるのよ。



151102
title : 観測者















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