言の葉、一枚

 
「あの葉が散ったら、私の命も散ってしまう…」


窓の外にある木を見ながら私は呟いた。
木にはあと一枚しか葉がついていない。
あれが散ったら…。

ベッドにいる私をちらりと見て友は「ふーん」と言うと、窓に寄って行った。
おもむろに手を伸ばすと、……葉をちぎり取った。
しかも勢いよく。


「ちょっ…!あんた何してんの!私の話し聞いてた?」

「うん、聞いてたよ」

「だったらなんで…!」

「葉っぱは散ったよ」

「正確に言えば、あなたが木からちぎったんです」

「そんなの、どっちだって同じだよ」


いや、同じじゃないです。
全くもって違います、全然違いますから。

くるくると葉を回している友に私は呆れてため息をついた。


「葉は散った」

「…そうですね」

「でも君は生きている」

「………」


友の顔を思わず凝視してしまう。
ああ、この友はなんて事をしてくれたんだろう。
これじゃ、私は何がなんでも生きなくてはならなくなってしまった。

ね?と首を傾げて笑いかける友に、私は目に涙を浮かべながら笑い返した。




言の葉、一枚









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