だからソラが嫌いなのです

 
「今日もサボり?」


空をバックにひょっこりと顔を出してきた女。
それを無視して俺は空を見つづける。

なにも言わない俺に構わず、ソイツは俺の隣に腰を下ろした。
吹き抜ける風が気持ちが良い。


「なんで来るかな」

「なんででしょーね」


そう言って笑うからホントにわかんない奴だ。

俺は金髪で耳に複数のピアス、しょっちゅうケンカをしている世の中で言う『不良』だ。
みな怖がるのに、コイツは何故か近づいてくる。


「お前、俺が怖くないのか?」

「全然」

「……」


…即答されてしまった。


「ただ金髪でピアスしててケンカしてるだけじゃん」

「いや、ケンカしてるから不良で…」

「だって、君は普通だもん」

「え?」


なんて言った…?普通?俺が?まさか冗談を。
だって不良だって、問題児だって言われてるような俺が普通… ありえない。


「みんなには不良かもしれないけど、私には君は普通。普通の高校生だよ」


そう笑う笑顔は眩しかった。
俺はただ呆然と眺めている事しかできなかった。


「この前私が困ってた時、助けてくれたでしょ?私と話してくれる君は優しいよ」

「バッ…!優しくなんか!」


確かにこの前、高い所にある本を取ってやった。
ただそれだけなのに、そんな事を言われたのが恥ずかしくて顔を逸らした。
頬に熱が集まるのがよくわかる。

コイツは苦手だ…。
普通だとか優しいとか言われて、不良だって威張る俺がちっぽけに見える。
空と同じ、広すぎる空では人間はちっぽけだから。


「お前、名前は?」

「名前?私は西里 ソラ」

……名前までソラか。


またね、と言って見せたアイツの笑顔は、しばらくの間俺の頬を赤くさせるのに十分だった。







(俺は…苦手だ)





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