理解できない行動


――ツンツン

「……」

――ツンツンツン

「……」

…反応なしですか。
困ったなぁ…

「ランスさーん、起きてくださいよ」

くいくい、と袖を引っ張るが相変わらず反応はなかった。
これでは部屋の掃除が出来ないではないか。誰だよ、やれって言ったのは。

とりあえず掃除機を床に置き、ランスさんをじっ、と見つめる。

掃除機を持ちにランスさんの部屋を出て10分ちょい。
その間にランスさんはふかふかのソファに座り、寝てしまったらしい。

それにしても貴重な場面である。あのランスさんが眠っているのだ。これはレア物だ。誰かカメラをくださいな。…売ればきっといい値段で売れるだろうな(ランスさんはモテるからなぁ)

前に1度したっぱ女子たちに絡まれた時はヤバかったなぁ。なんでアンタがランスさんの傍にいんのよー!って。んなこと知るかっていうね。逆に私が知りたい。
おっと。それは今は関係ないな。とりあえずランスさんをどうするか、だ。

…起こすのは可哀想だなぁ。
きっとランスさんだって疲れているんだ。なんたって幹部だもの。私に散々書類の山を置いていくけどきっと他にもいろんな仕事をやっているんだ…と思う。

けれど起こさないと掃除が出来ない。

あぁ、でも起こすとなぁ…

「……ふぁっ」

なんだか私まで眠くなってきたなぁ…
そういえば寝るの遅かったっけ。目の前の人のせいで。

そっとソファの上に乗り、ランスさんの左側に座る。そして目を閉じる。

もう掃除はいいや…寝ているランスさんが悪い。そう、私は悪くない。
そして私に睡魔が襲いかかってきたのもランスさんが悪い。

…おやすみなさーい。



コツン、と何かが肩に当たった。
…なんですか。人の眠りを邪魔するつもりですか。
目を開けて肩を見る。
そして私は目を疑った。

「……ん〜」

なんで貴方が寝ているのですか、レイム。
しかも凄く幸せそうな表情で。

と、視界の隅に寝る前まではなかった物が目に入り、そちらを見た。

あぁ、そういえば部屋の掃除をするよう言いましたっけね。
彼女のことだ。私をどうしようか迷っている最中に眠くなり、寝てしまったのでしょう。

「起きなさい、レイム」

そう声をかけるが相変わらず幸せそうに眠っている。

頭を叩いてやりたいところですが…なぜか叩けない。

いつから私はこんなに甘くなったのでしょう。
こんな姿を他の幹部やしたっぱに見られたりしたらさぞ驚かれるでしょうね。


しかし、幸せそうに眠っていますね。私の隣、しかも肩を借りて寝るとは…いい度胸ですねぇ、レイム。
貴方しか出来ないことですよ。そんな命知らずな行動は。
本当に面白い少女だ。

「起きなさい」

片付けなければならない仕事は山ほどある。
嫌でも起きてもらいますよ、レイム。

べしっ、と頭を叩いたが起きる気配はない。
……熟睡中ですか。

「仕方がありませんねぇ」

これはもう一眠りするしかないですね。今日も徹夜で仕事になりそうですし。
まぁ、やるのは私ではないですが。
働いてくれる部下を持って私は幸せですよ。

「……ランスさぁん」

「なんですか」

……寝言でしたか。
てっきり起きたのかと思ったのですが。

「お給料…あげてくださいよぉ」

本当に幸せな夢を見ているのでしょうか。
これ以上貴方の給料を上げろと言うのですか。貴方は知らないでしょうが、したっぱの中で一番給料が高いのは貴方なのですよ。

「これ以上、上げれませんからね」

そう返すと「そんなぁ」と返ってきた。
実は起きているのでは、と思い、頬をつねる。が、反応はなかったので寝ているようです。

…器用ですね。

いつの間にか眠気はなくなってしまった。

これは遊ぶしかないですよね。

「レイム」

なんですかぁ、と返ってきた答えに私は微笑んだ。









(お前、何やってんだよ)(おや、ラムダ。これ、面白いですよ)(……)









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