匿名ラブレターにご用心


またこの人はそんなことをするんだから…!



ロケット団に4人の幹部の皆さんがいることは皆さんご存知。
では、団員の構成はどうなっているかはご存知ですか?

私が所属しているランスさんの組は圧倒的に女子が多い。次にアポロさまの組だ。アテナさまの組は男子が多く、ラムダさまの組は半々ぐらい。ちなみに幹部は一応選べたりする。入団式の時にアンケートをするのだ。え、私?最後の欄にあった「誰でもいい」にしたらランスさんの組になりましたけど。
――と、前置きはこれくらいにして…

とにかく、ランスさんの組は圧倒的に女子が多い。
女子たちの魂胆が見え見えだよなぁ…

目の前にある便箋の数々を見ながらうんうんと頷いていると不意に頭に衝撃が走った。

「いだっ」

「ゴミ箱を見ながら何をしているのですか」

振り返ると若干ご機嫌斜めなランスさんが立っていた。その手には一通の便箋。

「また貰ったんですか〜?」

思わず顔をにやけさせながら言うとランスさんはますます機嫌を悪くさせてしまった。
ランスさんをからかえる時といえばこの時しかないのだ。多少の犠牲はつきもの。

「そうですよ。貴方には一生体験出来ないでしょうけどね」

「うぐっ…」

嫌味で返された。
そ、そりゃあ体験したことないけど…今のはぐさっときた…

「廊下を歩いているだけでこんなものをもらわなければいけないとは」

「こんなものは酷いですよ、ランスさん…」

びり、と無惨な音に思わず眉を寄せる。
あーあ…可哀想な女子…

「せめて読んであげましょうよ…」

「時間の無駄ですね」

ゴミ箱に便箋をシュートすると、ランスさんは息をついた。

「女というものは不思議な生き物ですねぇ」

「女心を理解出来ない男も不思議な生き物ですよね…」

「何か言いましたか?」

キッと睨み付けられ、慌てて何でもないですよ!と返す。
口は災いのもとだな…

「そんなことよりも仕事は終わったのですか」

「あ、はい。机の上に必要だと思われる書類は置いておきました」

「そうですか」

そう一言言うと間を開けてランスさんはぽつりと呟いた。

「まだレイムの方が使えますね」

……私は物じゃないんだけど。
でも少しだけ嬉しかったのは内緒だ。他のしたっぱたちよりも使えると思われているのはいいことだと思うし、誉められることは嬉しいもの(誉められたのかは謎だけど)

「単純で使いやすいですから」

「……ランスさぁぁん」

一気にテンションが低くなったよ…
ううっ、単純って誉められ…てないよね、絶対…
愉快そうな表情をしながらランスさんはクスリと笑うと部屋を後にした。

「可哀想な私…」

再びゴミ箱へと視線を送り私は静かに項垂れたのであった。



ちなみにこのあと必死の形相で便箋を渡したしたっぱ女子がランスさんの部屋に入ってきて、私と揉めるのは別のお話。









(ちょっと!アンタが便箋を捨てたんでしょ!?)(違いますから!勝手に勘違いしないでくださいよ!)(ランスさんがそんなことをするわけないでしょう!?)(するから!)









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