拍手お礼文4


(2015/06エドガー)
エドガーさん、と自身の名を呼びながら伸ばされた腕をぐっと掴み、引き寄せる。
小さな声を上げながら腕の中に収まった彼女からはふんわりとした優しい匂いと冷たさを含んだ自身の体を温めてくれる温もりを感じる。
「びしょびしょですね、エドガーさん」
額に張り付いている髪を彼女の手がそっと払う。額に触れた温もりに思わず「温かいな」と声に出してしまえば彼女はくすくすと笑った。
「水も滴る良い男…って貴方にぴったりですね」
「そうかな?」
「はい。でもこのままだと風邪をひいてしまうかもしれませんね」
「そうしたら君が看病をしてくれるのかな」
「それはしますけど…でも元気なエドガーさんが私は好きなので出来れば風邪をひいて貰いたくないです」
少しだけ困った様な表情を浮かべる彼女に今更ながら彼女もこのままでは濡れてしまうではないかと気づく。けれどこの温もりを手放したくないという感情が渦巻く。だが彼女が自分の健康な姿が見たい様に自分とて彼女の健康な姿を見ていたい。そう思えば自然と彼女から少しだけだが離れる事が出来た。
自分が離れた事を彼女は自身が発言した言葉を理解してくれたのだと判断をしたらしい。にこりと笑みを浮かべるや手を重ねてきた。
「部屋に行きましょう、いろいろ乾かさないと」
「あぁ、そうだな」
彼女に手を引かれるまま歩き出す。
雨に濡れる事は好きではないがこうして彼女が気にかけてくれるのなら好きになっても良いのかもしれない。そんな事を思いながら。


(2015/07〜09カイン)
ふぅ、と隣から小さく息が零れる音が聞こえ思わずそちらへと視線を動かば俯き加減で片手で小さく煽いでいる少女の姿。
「暑いのか?」と聞けば「はい」と数秒の間の後に返ってきた声音からは普段の快活さが欠けていた。余程暑さに参っているようだ。
「カインさんは、暑くはないんですか」
「暑いな」
「ぜ、全然そんな風には見えない…」
信じられないものを見るかのような目つきでこちらを見てくる姿に思わず苦笑いを浮かべてしまう。
確かに彼女と比べれば自分は涼しげにしているのかもしれないがそれは彼女の様に表に出していないだけである。
「こういう時って、冷たい物が欲しくなりますよね」
尚も片手で自身の顔を煽ぎながら小さく唸る姿に同意を込めて頷けばそれが嬉しかったのか彼女は小さく笑う。
「じゃあ一緒に冷たい物を食べに行きませんか?」
期待を込めた瞳に見つめられるのと同時に微かに興味が沸く。
「良い場所を知っているのか」
「はい。カインさんも気に入ってくれると嬉しいんですけど」
「お前が連れて行ってくれる店ではずれであった事はない」
「そうですか?ふふ、嬉しいなぁ」
目を細めてにこにこと彼女は笑い、次にあっちですよと指で行く先を示す。
その先を目で捉えていれば手に温かな感触が舞い降りる。見れば小さな手が自分の手を握っていた。
「暑かったら離しても良いですからね」とこちらを伺う姿に思わず小さく笑みを浮かべてしまうのを感じながら「ちょうど良い温かさだ」と返し、彼女の歩調に合わせながらゆっくりと歩き出す。
次は自分が彼女を暑さから遠ざける場所を教えてやらねばと思いながら。










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