愛の宅配便


気に入って貰えるかな?




「カーイーン!」

ばっ!と突然抱きつく私。――もちろん、修行中に。

「――シオン!?」

しっかりと私を受け止めてくれる辺りカインらしい。(地面に槍が転がったけど気にしなーい!)

「急に抱きついてくるな…危ないだろう!」

「だって、カインってば私が来たのにずっと修行中なんだもん。浮気するよ?」

にこっと笑って言ったら、カインの表情がひきつった。

なんだか本気にされると悲しいなぁ…。(する気なんてないのにね!)

「す、すまん…。」

「冗談だってば。本気にされるとマジで悲しいんだけど」

「(…お前ならやりかねないんだよ!)」

「…っと、それは置いといて…カインに渡したい物があるんだ」

「――渡したい物?」

カインが疑問そうに呟く。その言葉に私はうんうんと頷いた。と同時にちょっと悪戯を思いついた。

「そっ!では、ここで問題!今日は何の日?」

さすがにこれはちょっと簡単過ぎたかな?

私が期待に満ちた表情で聞くとカインはなぜか目をそらした。

…こ、こいつ…もしかして…?

「…分かんないの?」

「……あ、あぁ…むしろ、今日って何日だ?」

「……」

あぁぁぁぁっ!!そういえばここって山の中だった!

「……すまん」

とっても申し訳なさそうに言うカイン。

「…いや…私も悪かったよ…。」

計算外だったわ(いろいろと)
仕方がない。教えてあげよっかな!

「今日は2月14日だよ」

「14日…あぁ、バレンタインか」

「ぴんぽーん!ってことで…。」

カインの腕の中から離れ、私はリュックサックの中からラッピングがされた包みを取り出した。

「はい、どうぞ!」

私が差し出すとカインはふっ、と笑って 包みを受け取った。

「食える物なのか?」

カインがリボンをほどきながら言ってきた。
思いっきり嫌味だが、これが彼なりの照れ隠しなのだ。長年一緒にいれば分かる分かる。

「そんなこと言うんだったら食べなくてもいいよ?他の人にあげるから」

あえて嫌味っぽく私が言うと彼は少し不機嫌そうにした。

「誰も食べないとは言っていないだろう?」

そう言ってチョコを1つ手に持った。
そして口の中へ入れた。

やけに真剣に食べているカイン(そこまでの物なのか…?)
なんだか不安になってきたので私は訊ねてみた。

「味はどう?」

「……まぁまぁだな」

もう少し甘さを控えてもらいたかった、と答えるカイン。
…なかなか嫌なヤツだな。

「だが、不味くはないな。――ありがとう、シオン。」

そう言って包みを持っていない手で私を引き寄せる。

……本当にこいつは自分勝手なんだから。

「ホワイトデーは倍返しだからね」

「あぁ、任せておけ」








便
(さて、次はパロムの所だ!)(他のヤツにも渡すのか?)(えっ、当然だよ)(……複雑な心境だな)
















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