似た者同士


片付けをしようか。



数冊の読み終えた本たちを持ち、廊下へと出る。
両手が塞がっているので足でドアを閉め、くるりと体の向きを変えて歩き出す。
すれ違う兵士たちが頭を下げていくのに笑顔で返しながらシオンは本の内容を頭の中で復唱しながら歩く。

ほどなくし、目的の部屋へと辿り着いた。
ドアの前に立ち、一瞬だけ迷う。どうやってドアを開けようか、と。
仕方がないので本たちを床に置く。

こんこん、とドアを叩きながら主の名前を呼ぶ。

「ミンウ、いる?」

部屋の中から返事はなく、ドアノブに手をかける。
下へと押してみるとドアと部屋の間に隙間が出来た。どうやらいるらしい。

「返事をしなさ、あれ?」

開けながら文句を言おうとしたが、ドアが突然動かなくなった。
不思議に思い、床の方へ視線を送ると。

「……」

隙間から見えたのは数冊の本。
それらがドアと開けるのを阻止しているようだ。

まったく、と呆れながらも心の中では本たちに謝罪をしつつ、勢いよくドアを開ける。

――部屋の中に広がった光景に再び呆れた。
本たちが床に散乱している。山積みにされているのもあるから、恐らく積まれていたのが崩れたのだろう。

その中に、床に座りながら読書に没頭をしている人物がいた。

その人物に向かってシオンは勢いよく持ってきた本を投げつけたのであった。



「……痛いな」

「自業自得だよ」

頭を擦るミンウにシオンは冷やかに返し、部屋の中を見回す。

「こんなに散らかして…集中し出すとすぐに散らかすんだから」

「わざとではないぞ」

「そういう問題じゃないでしょうが!」

これでは設置してある本棚たちが可哀想である。
床に散らばっている本を手に持つとミンウが「待ってくれ」と声を上げた。

「ちゃんとどのような書物か、分類をしてあるのだ。無闇に動かさないでくれ、って聞いているのか、君は!」

「はいはい、聞いてますよ〜」

棒読みで答えながらも手を休める気配はない。
5冊程度の本を抱え、本棚へと戻す。

「それはそこではないぞ」

「はいはい、そうですか」

「…分かった、自分で片付けをするから、君は手を出さないでくれ…!」

ミンウが両手を合わせて懇願する姿にシオンはこの姿を城の連中に見せたらイメージ崩壊だろうな、と思いながら「分かったよ」と本棚に戻そうとしていた本をミンウに手渡す。

本を受け取ったミンウが直ぐ様片付けを始め出す。
その様子をベットに座りながら見つめるシオンだったが、ふとベットの上に置かれていた本を手に取り、読み始めた。

「ふーん」

白魔法について書かれている本だ。
シオンの専門は黒魔法だから、白魔法についてはあまり知らない。
ふむふむ、と頷きながら本に没頭し出すシオンをミンウは手を動かしつつ、そっと盗み見た。

「…君も私と変わらないだろう」

読書に没頭すれば食事や掃除などをそっちのけにするのはお互い様だ。
恐らくシオンの部屋もミンウと同じ状況になっているに違いない。

本棚へと本を戻しながらミンウはそっと息を吐いたのであった。










(失礼するよ)(あ、ミンウ…)(これは…部屋の片付けをしないといけないようだね)(…性格悪い…)









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