本心を素直に伝えられるほどお互い幼くはない


「おい」
そう後ろから聞き慣れた声がしたかと思うとぐいっと片腕を引っ張られた。
不思議に思い振り返るとそこにはとても面倒くさそうな顔をしたカインがいた。
「明らかに関わりたくないオーラを出しつつ何かな」
「一言余分だ」
「じゃあそのオーラをしまってもらいたいものね」
そう言い返すと彼にしては珍しく言葉に詰まった様な感じだった。
ど、どうしたのだろうか…気持ち悪い…ここ最近の連戦続きでついにおかしくなってしまったのだろうか。
「で、何か用があるの?」
そう聞くが返事はない。ただ私の顔をじぃと見ているだけだ。
「カインさーん?」
空いている手を彼の顔の前で振る。
するとカインは小さく息をついた。
「お前気付いていないのか…?」
「は?」
突然何を言い出すのか。訳が分からず首を傾げると突然カインの手が私の方に伸びてきた。
「お前の性別はなんだ」
「一応女ですけど」
「だったら少しは外見を気にしろ」
「よ、余計なお世話!というか回りくどい!言いたいことは何!?」
「傷があるぞ」
頬にひんやりとした感触。と同時にちくりと触られた箇所が微かに痛む。
「む…ほんとだ。痛い」
「先程の戦闘で出来たようだな」
「よくわかるね。触ると分かるもんなんだ」
「…まぁな」
「でもこれくらい大丈夫でいででで!!」
言いかけた途中で思いっきり頬を引っ張られた。
「せ、性別云々言った癖に何をするのかな!?」
「すまんつい癖でな」
「どういう癖だー!?」
「毒でもあったらどうする気だ」
「う…ま、まぁその可能性もあるか…じゃあ毒消しでも使うか」
「その程度で使おうとするな勿体無い」
「は…待て待ておかしくないかな!?じゃあこのまま放置しろと…!?」
やっぱりカインってばどっかおかしいのでは!?会話が成立してない…!
私の傷云々よりカインの頭を治した方が良いのではないか…!?
「顔に出ているぞお前…」
「あっ本当?じゃあとりあえずカインの頭にエスナをかけようか、私はかけれないから自分でかけてだけど」
「……エスナをかけるのはお前の傷にだ」
「えっ…も、もしかしてカインがエスナ使ってくれるの」
「おいなんだそのいかにも嫌そうな表情は」
「だってカインってば白魔法全然あれじゃない…げっもしかして実験台になれと!?」
「…お前は人の好意を素直に受け取れないのか」
「うん、カイン限定だけど」
即答すると思いっきり不機嫌な表情になったがこればかりは本心だから仕方がない。
私は嘘をつくのが苦手だから仕方がない…と思っているとまた頬を引っ張られる衝撃が。
「いでででで!だから痛いってば!」
「黙れ、さっさと来い」
言うや頬に添えられていた手が離れ、腕を思いっきり引っ張られる。
結局この後、私はカインのエスナを受ける事になるのであった。



「……カインさん、素直に言えばいいのに」
「おいおいポロム、それマジで言ってるのか?素直に言ったってシオンねーちゃんが聞くわけねぇだろ」
「…そうね」








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