Sweet Girl


デート、デート!



鼻歌混じりに辺りの店をキョロキョロと見回しながら歩いているレイム。
その後ろ姿にワタルは微笑んだ。

「前も見ないと転ぶよ」

そう声をかけるとレイムはくるっ、とワタルを見た。
歩きながら「大丈夫です!」と返すレイムの表情はにこにこと笑顔だ。

「それにしても、ワタルさんの私服姿って初めてかも」

「そうだね。君には見せたことがなかったな」

被っている帽子を手で押さえながらワタルは自身の服を見た。

「とってもかっこいいですよ!」

レイムがぽんっ、と両手を合わせて笑顔で言った。
ありがとう、と照れながら言葉を返すワタル。

「レイムだって可愛いよ」

そう言うとレイムの表情はぼんっ、と赤色に染まった。

「そっ、そんなこと、ないですっ」

必死になって言うレイムにワタルは本当に可愛いなぁ、と心の中で呟く。

「そ、それよりもっ!美味しいケーキ屋さんをこの前見つけたんです。行きませんか?」

「いいよ。行こうか」

即座に返せばレイムは「やったー!」と嬉しそうな声を上げた。
そしてワタルの手に自分の手を重ね、頭上へと掲げた。

「それじゃあ、レッツゴー!」

「…そう慌てなくても店は逃げていかないよ」

苦笑しながらワタルが言うとレイムは「だって、早く食べたいんです!」と手を下ろした。
どうやら自分とのデートよりもケーキの方に頭がいっているみたいだ。
少しだけ機嫌を悪くしたワタルはレイムの耳元で囁いた。

「俺とのデートよりもケーキの方が大事なのかい?」

少し拗ねたように言うと想像通りレイムはわたわたと慌て始めた。

「そんなことないですよ!」

「本当かい?」

「本当ですっ!」

必死になって言うレイムにワタルは「ならいいよ」と笑いながら返した。
すぐに真に受けるレイム。純粋だな、と思う。

「さて、そのケーキ屋はどこにあるんだい?」

「あっ、はい!こっちです」

ギュッと繋いでいる手に引かれながら歩き出す。

「レイム」

ワタルが声をかけると歩きながらレイムは顔だけをワタルに向けた。

「なんですか?」

「今日は楽しもうな」

そう言うとレイムは満面の笑みで「はいっ!」と頷いた。







Sweet Girl
(ケーキ、楽しみだなぁ)(…本当に君は甘い物が好きだな)








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