おしおき


約束を守らない人はお仕置き!



「フルーリちゃ「近寄らないでくれるかな?」

にっこりとした笑顔で、伸ばしていた手をべしっ!と叩かれた。

――痛い。

「うぅっ、フルーリちゃん〜」

「来るなって言っているの、分かるよね」

「…はい」

「私に構ってないで、とっとと酒場にでも行けば?」

レイヴンと一緒に座っていたベットから飛び降り、フルーリは近くにあった椅子に彼から背けて座った。

事件は数時間前に遡る。
ダングレストの街に寄った一行はそこで一晩を過ごすことになった。宿屋に荷物を置き、買い物当番を決めるのはいつものことだった。決め方はシンプル。くじ引きだ。そして、くじの結果により買い物当番になったのはフルーリとレイヴン。
レイヴンの提案により料理コロシアムに集合となっていたのだがーー彼が現れることはなかった。

本人の言い訳によるとユニオン本部にいっていたらしいが、会ったときの酒の臭いと香水の臭いにより一瞬で嘘だと見破られた。

憤慨したフルーリは待っている間に偶然会ったカロルとエステルと一緒に買い物を済ませたのであった。

「……」

――どうしよう。
レイヴンは心の中で呟き、頭を抱えた。
こんなに怒っているフルーリは初めてだ。
今までは酒場に繰り出しても怒ったことはなかった。

「ほどほどにしてよ」

そう笑いながら、いつも言ってくれていたた。
だが、今回は違う。
そもそも自分が悪いのだ。ちょっと挨拶をしに行くだけと自分に言い聞かせていたのに、気がついたら酒を煽っていた。
フルーリが怒るのも無理もない。

気まずい空気が流れる部屋の中でレイヴンは必死に頭を回転させる。

「レイヴン」

「は、はい!?な、何かな!?」

自分でいうのもあれだが、動揺しすぎだ。
あぁっ、俺様馬鹿すぎる!

「なにそんなに動揺しているの…」

クスクスと笑いながらフルーリはレイヴンの方を見た。

「効いたでしょ?」

その言葉にレイヴンは自分がはめられたことに気がついた。

「フルーリちゃ〜ん…」

ぼすん、とレイヴンの隣に座ったフルーリにレイヴンは情けない声を出しながら抱きついた。

「酷いじゃない!おっさんをはめるなんて!」

「…へぇ。どっちが最初に悪いんだっけ?」

「うぐっ、そっそれは…」

「私に何か言うことは?」

「…ごめんなさい!俺が悪かったです!」

「だから嫌いにならないで〜!」とレイヴンは続けるとフルーリはよろしい、とレイヴンの背中をぽんぽんと叩いた。









(この埋め合わせは絶対するからね!)(当然じゃない)









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