Thank you 拍手有難うございます! 現在のお礼文はカインです。 小さな鈴の音が響く。その音はまるでそよ風の様に耳の内に入り、知らずの内に手にしている本より意識を向けてしまう。 この鈴の音を聴いていると安寧を得られるのだ。 そのまましばらく堪能したい音。けれどその音を先程から奏でる理由を知りたいと思い、名残惜しさを覚えつつもそっと本を閉じて言葉を発する。 「今日は何か良い事があったのか」 そう問えばぴたりと鈴の音が鳴り止み、直後自身の片方の肩に微かな重みを感じる。見れば鈴の音の主がこちらに寄り掛かるようにして体を寄せて来ていた。 「良い事、沢山あったよ」 「そうか。例えば?」 「んーそうだなぁ。例えば、こうしてカインが私の傍にいてくれる事とか」 「…その言葉は有難いが質問の答えにはなっていない気がするが?」 「そうかなぁ。でも沢山あった良い事の中でも一番良い事なんだけどなあ」 再び鈴の音が響く。その音がどこか楽しげな音色に聴こえるのは気のせいではないだろう。 彼女の言葉に偽りはない、その事を音が証明をしていた。 「貴方と一緒にいれる事が一番良い事で嬉しい事だよ。貴方は違う?」 夜空に散らばる星達の様に瞳を輝かせながら問う彼女はこちらの答えを知っていて言うのだから達が悪い。 「違うと言ったら?」 「違わないって言うまで何度も聞くよ」 幼い子供が楽しい遊びを思いついたかの様な表情を浮かべながら笑う彼女。 そんな彼女を見ながら少しだけ悪さをするのも悪くはないのかもしれないと思った。 |