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 天使と書いて悪魔と呼ぶ


――立海大付属。


「ドリンク出来ましたよー」

「よっしゃー!」

「…もうヘトヘトっす……」

「お疲れ様。柳生くん」

「え」

「は」

「…え?」



さて今なにが起きたか分かる人はいるだろうか。
まず上から順になまえ、丸井、赤也、なまえ、柳生、赤也、なまえである。
次になぜ柳生の名が出たかというとなまえに地味に大変な問題があるからだ。



「あ、ご、ごめんね!えっ…と………名前、なんだっけ?」

「もー!まだ覚えてないんですか!切原です!切原赤也!」

「あ、そうだ!切原くんね。切原くん」



なまえは自分に言い聞かせるように「切原くん切原くん」と柳にドリンクを渡しながら呟いている。実にカオスだ。
ご覧の通りなまえは人の名前を覚えるのが苦手だ。俺の「マネージャー業は大変かい?」という問いかけに「大丈夫、部長の真田くんの方が大変でしょ?」と答え、真田並の鉄拳を飛ばしたのは記憶に新しい。まあ、なまえだったから力は抑えたけどね。



「なんだよみょうじ、まだ名前覚えてないのかよい」

「そんなに難しいか?」



次にドリンク片手に現れたのは丸井、ジャッカルだ。さあ、どうなるかな…。なまえは「あっ」と小さく言うと「知ってる、知ってるよー」と明らかに悩み始めた。
丸井が「俺も覚えられてないのかよい…」としょげると



「おっ覚えてるよ!ジャッカルくんでしょ!」



と、ドヤ顔を添えて言った。



「はああああ!?なんでだよい!こんな奴と一緒にすんな!!」

「どういう意味だよ!!」

「へ、あ、仁王くんだっけ」

「ちげえええええ!!」



あまりにも不憫で笑いがこらえられずに吹き出すと「幸村くん笑うなよな…」と言った。だってだって!ジャッカルに仁王って…っ!くく…っ。



「あ、幸村くん」

「…っ。流石なまえだね。見ていて飽きないよ。」

「……いじわるだなー。見てたなら教えてよ。」

「ちょ!なんで幸村くんは覚えてるんだよい!」

「えっ、だって前に…痛い!」



前の真田事件(俺が勝手に呼んでる)のことを話そうとしたなまえの腰をど突く。そしたらジャッカルが俺の異様な雰囲気を感じ取ったらしく駄々こねる丸井を引っ張って行ってしまった。



「なまえ、今何を言おうとしたの?」

「なんでもないよ!!」

「ふーん…俺には言えないことなんだ」

「痛い痛い!言うから頭話して下さい!」



頭をぐりぐりしてみたら簡単に薄情した。まったく、素直なとこも可愛いよ。言ってやんないけど。



「で、何かな」

「えっと……」

「…………………」

「…ま、前に真田くんと間違えちゃったとき、幸村くん悲しい顔してたから……」

「…………………」

「だ、だから幸村くんは1番に覚えて間違えないようにしようって思って……」



そこまで話すとなまえは顔を真っ赤にして俯いてしまった。ああ、悲しい顔してたんだ…。まあショックだったけど。そっか一番か、…だめだ都合のいいように考えてしまう。つまりそういうことか?そういうことで良いのか?



「ゆ、幸村くん…?」

「……なまえ、あのさ」

「幸村ー!休憩時間は終わったぞ!!」



俺の言葉を遮った低音野郎は真田だ。向こうから「やばいですよ副部長…」「真田のばか…」といった声が聞こえる。とりあえず真田はグラウンド100周の刑かな。ふふふ、真田覚悟しろよ。



「あ、あの幸村くん。丸井くんが呼んでるよ…?」

「は」

「丸井くんってなんか怖いよね…名前は丸いのに性格は丸くないっていうか……」

「ぶっ!」



真田が…真田が……丸ぶっ!!



「おいみょうじ!それって俺が丸いって言いたいのかよ!」

「え、ええっ、丸井くんって…え、丸井くんって誰?」

「俺だよい!!」

「あはははははっ!」



くく…なんかなまえを見ていたらどうでも良くなっちゃった。真田は走らせるけどね。そんなことを考えながら横で混乱しているなまえの頭を撫でると更に真っ赤になったからその頬を引っ張った。ふふ、真っ赤なって泣きそうな顔も可愛いな。

使と書いて魔と呼ぶ
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333hit記念で夏田さんから 強奪 …ゲフン、頂きました。
なんという素敵なゆっきー…!
ありがとうございました!
2012.09.02




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