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 ハチャメチャぱーてぃー!

黒い耳としっぽを揺らして走る。首元の鈴がリンリンとうるさい。
目指すは氷帝学園中等部の、無駄に豪華な男子テニス部室。
今日はそこで大事な集まりがある。しかし、私は寝坊したために遅刻しそうなのだ。急がなくては!

やっとのことで部室のドアまでたどり着いた。ホントに無駄に広い、この学校。
ぶつぶつ文句を言いながらドアを開ける。

とたんに私を包み込む甘い匂いと喧噪。
もうみんなそろっているようだ。

「あー!なまえ、やっと来たー!」
『うわっ』

急に横から抱きつかれてよろける。
見ると羊…いや、羊の着ぐるみを着た人物が。

『ジ、ジロちゃん?』
「あったりー!なまえ、Trick or treat!」

そう、今日はハロウィン。氷帝学園のテニス部はハロウィンパーティーを開いているのだ。
私は黒猫、今抱きついてきたジロちゃんは羊の仮装をしている。

『ジロちゃんモコモコ〜。かわい〜』
「なまえの猫耳もかわE〜」

お互いに相手の仮装をほめる。あぁ、ジロちゃんと話すと癒されるなぁ…。
なんか、空気がほわほわする。

「よっなまえ」
「こんにちは!なまえ先輩」
『あっ、宍戸と鳳君!』

ほのぼのしていたら新たな仲間が。
この2人っていつも一緒にいるな。仲良しだー。

「宍戸はフランケンシュタイン?」
『いつでも絆創膏はってるから?安易だなぁ』
「うっせーな、わりぃかよ。これでも悩んだんだぞっ!」
「宍戸さん、似合ってます!」
「ありがとよ、長太郎」
ちょっとからかっただけなのにムキになる宍戸が面白くて、ジロちゃんと笑う。
それにしても鳳君超いい子。フォローまでバッチリだ。

『鳳君はヴァンパイア?』
「はい!」
「でもでも鳳、ヴァンパイアなのに十字架のネックレスっておかしくなE〜?」
「ヴァンパイアって実は十字架効かないらしいですよ」
『マジか』

でもいくら効かないっていってもやっぱ違和感あるよな…。
まぁいっか。いやでも…。
1人でとりとめもなく考えていると急に横から抱きつかれてよろけた。あれ、なんかデジャヴ。

「くそくそ!なまえ、くんのが遅いんだよ!」
「こら岳人。そないゆうたらアカンやろ。堪忍なぁ、なまえ」
『別に気にしてないからいいよ。でも忍足は名前呼びやめて。名字にして』
「なんでや!」
『だって嫌なんだもん。あ、他のみんなはいいからねー!』
「ざまーみろ侑士!」
「…この2人むかつくわぁ。もうちょい優しくしったってもい『がっくんかわいい!魔女?』
「かわいいって言うな!嬉しくないっ。あと魔女じゃなくて魔法使いだ!」
「おい、俺の話は無視か。というか存在すら無視なのか」

あー忍足いじけちゃった。まっ、いいよね!
鳳君がどうフォローするべきかわからないでオロオロしてんのがちょっとかわいそうだけど。
それにしても随分人が集まったなぁ。あと会ってないのは…

「なまえ先輩」
『あっ、日吉君と樺地君。楽しんでるー?』
「えぇ、まぁ」
「…ウス」
『テンション低いね…』

まぁいつも通りか。
今は2人のテンションよりも気になることが1つ。

『ねぇ日吉君。その格好には突っ込ませてもらっていいかな』
「なんですか」

だって、だってさ!

『それって仮装する気あるの?下に着てるのってジャージだよね!?』

シーツに穴開けてかぶっただけってどうなんだ。
いやこれはこれで可愛いけれども。

「はっきり言うと仮装にはあまり興味ありません。でも菓子は食べたいんで。ほら、先輩も1つどうぞ」

彼が差し出してきたのがは和菓子。日吉君らしいな。
お礼をいって受け取る。

『あ、おいしい。カボチャの甘みがほんのりと…っじゃなくて。もうちょっと仮装にも力を入れようよ。樺地君はすごい頑張ってんじゃん』

ちなみに樺地君の格好はミイラ男だ。すごい迫力がある。準備大変だったんだろうな。

「跡部さんに…言われました…」
『…お疲れ様』

あちゃー、無理やりだったか。
日吉君がそら見ろ。って感じでこっちをジト目でみてきているけど、やっぱりシーツかぶっただけはどうかと思うよ。うん。

『そういえば跡部は?』

あと会っていないのは跡部だけのはずだ。滝は今日は参加しないって言ってたし。

「あの人はまだ来てないですよ。どうせ派手に登場してくるんじゃないですか?」

それもそうだな。跡部がこんなパーティーで目立つことをしない訳が無い。
私も日吉君もこれからの事を考えてため息をついた。
ちょうどその時。

「お前ら、待たせたな!俺様の登場だ!」
「…ほら、来ましたよ」

急に暗くなった部室内で、1カ所だけがライトで照らされている。そこに立っているのは我らが氷帝学園テニス部部長、跡部景…ん…?

『日吉君。誰、アレ』
「…俺に聞かないでください」

ライトに照らされて立っているのはカボチャをかぶった男。
いや、声からして跡部なんだろうけどね!認めたくないよ!
しかもあの人カボチャパンツまで履いて王冠かぶってるよ。

「俺様がキングだ!!」

そう叫ぶとパチンと指をならす跡部。同時に部屋の電気がついた。
樺地君がいないってことはきっと彼がやってくれているんだろう。なんであんなアホにあそこまで尽くせるのかな…。

「「……」」

あーあ、みんな固まっちゃってんじゃん。そりゃ反応に困るよねぇ。
忍足と鳳君は苦笑い。宍戸とがっくんは唖然として口を半開き。ジロちゃんは…寝てるし!
そして日吉君はといえば何事も無かったかのようにお菓子を食べていた。跡部に背を無向けて。

でも日吉君の対応が一番良いかも。よし、ここはパーティーの雰囲気を元に戻すために私が一肌脱ごうじゃないか!

『みんなーっ!私のつくったお菓子食べなーい!?』
「「!!」」

私の叫びで跡部と樺地君以外が全員こっちを向く。そして押し寄せてきた。

「なまえー!菓子くれ!」
「なまえ先輩!」
「なまえ、俺にも」
「みんなずるEー!俺もほC〜」

うわ、凄い勢い。ってかジロちゃんいつの間に起きたの。

『はい、どーぞっ』
「うわ、おいCー!」
「めっちゃうまいぜ」
「最高だな」
「ありがとうございます!美味しいです!」
『喜んでもらえてよかった』

頑張って作った甲斐があったよ。
1人満足してうなずいていると、後ろからなにやら黒いオーラが。

「お前ら…俺様を無視するとはいい度胸じゃねーか。アーン…?」
『あっ…』

ヤバい。跡部を怒らせた。

「堪忍な、跡部…」
「マジわりぃ」
『ごめんなさい…』

みな顔を青くして口々に謝るけど、そんなもの意味は無く。

「ふざけんなてめぇら!」
『「うわぁーっ!」』

カボチャ大王VSレギュラー+私の壮絶な鬼ごっこが始まったのでした。

ハチャメチャぱーてぃー!
(おい!待ちやがれ!)
(助けてーっ)

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夏田さんへハピバ文です!遅くなってごめんなさいぃぃ ((((; ゚Д゚)))
約2週間の遅刻ですね、申し訳ない…。
しかも溜めておいての低クオリティ。
そして跡部の扱い。
そして発表時期の中途半端さ。
……。

書き直しとお持ち帰りは夏田さんのみ受けつけます!
2012.10.28



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