#7 そして、世界はここから始まる
・・・・・・また、エースを救えなかった。
今度はもっと最悪で、あの時間のエースを弔うことなく時間を越えてしまった。能力の負担が体に悪影響を及ぼしているのは自分でも分かっていた。
実はエースに追い抜かれてしまい、エースがティーチを見つける前に時間を数日戻したのだった。でも、戻す前は町はしっかりと平和があったのに、戻したら町は荒らされていた。過去を変えれば未来に影響はでるのだが、今回は理由は分からなかった。私がいる場所が違うだけで、影響はあんなにでるのかな?
『・・・・・・あんた誰だ?』
私が初めて時間を越えた後に会った人たちはみんな私のことを知らなかった。そして、その時間にいるはずの私の姿はない。きっと、これがトキトキの実の能力の代償だと思う。マルコもこればかりは予想外のことだったのかもしれない。その日に私は確かにいたのに、時間を越えた瞬間に私は世界に存在しなくなっていたのだ。
辛くて、孤独で、私を送り出してくれたマルコたちの許に帰ろうにも未来は改変されていて私を慰めてくれるはずだった兄達は私を知らなかった。
ただ、未来改変のバグで部屋が残っていたり、写真があったりと欠片は残っていた。
それでも、もう私に帰るところは何処にもなかった。
「ごほっ、ごほっ」
咳に血が混じるし、攻撃を受けた体が痛い。
「寂しいよ」
どこかの森の中で、私はそう呟いて意識を手放した。
孤独で始まる
(私が帰りたかったあの場所など、存在もしていなかった)
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