(青峰視点) 「青峰っち、」 デートしたい。 真っ直ぐ、だけどどこか不安そうに揺れた眼差しで告げたその言葉を鼻で笑うなんて簡単だった。 簡単だった、けど… 「はああぁぁ……」 結局あいつのために、貴重な部活休みをこんな人混みで過ごすことに決めてしまう俺も大概きもちわりぃ。 待ち合わせの時間前に着いてしまうなんて俺らしくない。マジで。チッ、誰も見てないのは分かるがどこか恥ずかしい。 「青峰っちー!!」 数メートル離れたところから、女共に騒がれる整った顔をバカみたいに崩してブンブン腕を振っているのは、俺のアホ犬。そう言うたび、あいつは「ペットじゃなくて恋人扱いしてほしいっス!」なんて口を尖らせるけど。俺の、って所有格には一ミリも突っ込まないのには満足している。 いつまでも嬉ションしちゃうような駄犬だけど、躾られずに甘やかしてしまう俺も駄目な飼い主なんだろう。 「見て見て!新しいピアスつけてきたんス。青峰っちがこの前くれたやつっスよー!青峰っちの髪と同じ色でテンションあがるっス!!」 照れ臭そうに笑う黄瀬の耳朶の産毛が太陽の光で光って、綺麗だ。とか、 「アホ、大声出すんじゃねぇよ!仮にもてめぇモデルなんだろーが」 「あっ」 慌ててキョロキョロ辺りを見渡すたび、さらさら揺れる金髪に触りてぇ。…とか……… 「バレてないみたいっス!」 満面の笑みでこちらを振り返ったこいつを見ると、ああぁぁあもう!!! 「っ、くそ!!」 「あああ青峰っち!? …や、やっぱデート嫌だったんじゃ」 しゅんと垂れた犬耳が見えそうなくらい周りの空気が沈んで、多く水分を含んだ揺れる瞳がこちらを見る。だからそれが!!! 「黄瀬よぉ、あんま笑うんじゃねぇ。んだよ良い匂いするしよ!これだからてめぇは…」 「………ごめん」 高めの鼻がほんのり赤くなって、このバカは。頭の中ではまた、俺が冷徹な奴になってんだろ? 「勘違いしてんなよ。」 ずっと触りたくてウズウズしてた耳に唇を近付けて、俺の精一杯の「よし」を与えた。 躾るのは好きじゃない。大人しい黄瀬より目まぐるしく感情を入れ替える可愛い黄瀬を見ていたいから。だからって、あまり甘やかすのもよくないと、犬を連れたテツにアドバイスを受けた。分かってる、自覚もしてんだけどよ… 「誰にも見てほしくねぇんだよ、お前を。」 顔を離して至近距離で覗きこんでやると、真っ赤な顔で少し期待した目をした黄瀬がいた。 しょうがねぇな、結局甘やかしちまう。…あーこうやって、アホ犬が育っちまうのかもしれねぇ。まぁアホでも何でも俺が貰うから問題ねぇか。 「お前は俺のだから」 ベッドの中で好きだと言われた笑顔をみせると、幸せだと黄瀬の心が叫んだのが伝わった。何故って、こいつから発せられる甘い匂いが濃くなったからだ。 次の瞬間抱きついてきた恋人に理性を保つので必死だった。 俺のスーパーハッカー (勝手に侵入しては、グチャグチャにする) ―――――――――――― ディ○ニーランドに連れていきたかったのに…なんだこれ\(^o^)/ リベンジしたいです。 × 20121028 |