なんでこない?



約束をした。
久しぶりのデートの約束。
何食わぬ顔で学校をでた。
嬉しい気持ちを隠しながら。
久しぶりにあう日向を楽しみにしながら。

待ち合わせ場所についた。
まだ10分前なんだけど、まぁ約束時間より前に着くのは常識だからいいんじゃないかとか、思っていた。

それが5分前の出来事。
今といえば待ち合わせ場所によっかかりながらコーヒーを飲んでいる。
吐く息は白く季節を感じさせる。
寒ぃ……。
あと少しで現れるであろう日向をただひたすら待ちながら白い息を吐く。

ん?
ジャケットでバイブがなる。
日向……?
日向からのメールだった。

なんだ?

『わりぃ。今日、行けなくなっちまった。ごめんなっ!今度デートしようぜっ』


なんなんだよ。
どうしたんだよ。

誰と?
だれと?
ダレと?
ダレト……

俺より優先するコトがあるっつうのか?
今日は学校は休みのはず。
バイトならバイトだと言えばいい話。
なぜ理由を言わないんだ。
……言えない?

俺に言えないようなわけがあんなかよ。
日向は俺のなんだよ。
誰にも渡さない。

携帯をしまい駅に向かう。
行き先は日向の最寄り駅。
ひどく殺気立って歩いていたらしく、人が自然に避ける。

階段を駆け昇り、
目の前に止まっていた電車に飛び乗った。
ハァハァと息を切らしながら吊り革に掴まる。

よく考えたら日向が家にいるとは限らないじゃないか。

だけど体が勝手に動いた。
走るまでは行かない。
小走り、早歩き程度のスピード。
だからといって普段ほど落ち着いているわけでもない。
……日向

最悪の状況を考えてしまう。
他の奴、俺以外のだれかといる場合。

そんなの嫌だっ

どうしようもなく不安で
俺に興味を無くされていたらどうしようかと。

小走りとも、走っているとも取れる早さで駆け抜ける。

廊下に着いた。
インターホンに指を伸ばす。

……押せない。
今、この中でだれかと笑っているんじゃないか。
今、この中でだれかに抱かれているのではないか。

怖い。
恐い。

だけどこのままではいけない。
震える腕をもう片方の腕で押さえながらボタンを押す。

ピンポーン……

無常に響くその音とは反対に高鳴る心臓。
ドクドクとなっている。
日向はでるだろうか?
そもそもいるのだろうか?
そうか誰かと一緒にいるなら……


「はい」

「日向?日向なのかっ?」

状況が理解できずただひたすら日向の名前を繰り返すことしかできない。

「あ……今行く」

その口調からまずいと思っていることが汲み取れて焦る気持ちが高鳴る。

足音が近づいてくる。
鼓動が高鳴る。

ガチャ……

扉が開いた。
目の前にいる日向の肩を掴み壁に押しつける。

「なんでお前がここにいんだよっ!奥に誰かいるのか?そうなんだろっ!なぁ、日向っ!」

「お、となし?」

日向の声なんか耳に届かない。

「そうか、俺が嫌いになったか?たいして会うこともできない。毎日毎日好きとも言わないし、めったに俺からメールもしないっ!でも残念だなっ俺はお前が好きだ!」

怯えた目して下からみる日向になんか目もくれず俺は怒鳴り続けた。

「どこ触られた?なぁどこ触られたんだよっ!」

背中に手を回し、入れて動かしながら問い掛ける。

「ッ…、ち、ちがっ……」

「赤くなっちゃってまったく、お前は変態。そんな変態な日向くんは女の子を抱いたのか?」

日向から目を離すことなく怒鳴り続ける。

「だから、ちがっ」

「じゃあ、その口に直接聞いてやる」

腰を引き付け、頭を寄せて無理やり口付ける。

日向の鳴き声に自分のモノだという安心感。
酸素が足りない。
そのように背中を叩かれる衝撃に我に帰る。

「違うよ、お、と、なし」

ほら、と言って俺の腕を取り自分の額に手を当てさせる。

熱い……?

「あつ、いだろ?」

俺の所為で息を切らせながら、
俺の所為で涙を貯めながら、

「風邪?」

「そーなんだよなー。昨日もヤバいく、らい風邪だったんだけど、明日になった、ら軽くなるかなーって。どう、してもお前とデートしたかった……」

「ごめん。」

申し訳なくて抱き締めていた。
愛しくて抱き締めていた。

「へへつ」

「でもなんで言わなかったんだ?」

「あー、それな。俺風邪引いたってしったら来るだろ?」

「あたりまえだろ」

「医大生に風邪移すわけには行かないだろ?」

こいつはそういう奴だった。

「だから、かえれっ!」

ドアの方を指を差す。

「いや帰らないっと」

とかなんとか言いながら日向を軽々と持ち上げる。
ベッドに寝かせ布団を掛ける。
帰れーとか言って暴れていたけど布団に寝かせると静かになった。
「なんか食った?」

「いや」

「ご飯あっか?」

「ある。」

「じゃあ雑炊でも作ってやるよ」

「……」

なにか言いたそうにしているが口に出さない。

「どうした?」

「……なんでもない」

「そっかっ!」

そういって立ち上がろうとした。

「ここにいろよ」

服の裾を掴んで俺の動きを制止する。

「ん?」

「久しぶりじゃないかっ、な、な音無……」

俺を見ないで下をみて耳まで赤くしていう日向。

「しょうがねぇなっ!わがままお姫さまっ」

よく寝て、早く治してくれよ。

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