twi小話


#あなたをいつも書いてる小説風に紹介する を書かせて頂きました!!ありがとうございます!!




麦の若芽の匂いがする風を裂いて、迸る栗毛の鏃。漆黒の鬣を靡かせて、牝馬が夏の野を駆ける。その背に跨るのは、旅装に身を包んだ女だ。慣れた身のこなしで馬の足を操り、軽やかに崖上に躍り出る。眼下に広がるのは海縁の街と、どこまでも続く水平線。果てのない蒼を見下ろして、女はその海と同じ色の眼で笑った。彼女の心にも、果ては無い。/@kjrn_type_1204


はらはらひらひら。赤黄橙朱鳶櫨茜に時々緑。四季を問わず紅葉の降る不思議な山奥に、ぽつり、結ばれた庵が一つ。四方を朱塗りの鳥居に囲まれた不可思議の庵の奥では、今日も庵主がせっせと文机に向かっている。硯に筆を浸しては何かを書きつけ、ああでもないこうでもないと頭を捻る。言葉を探して掻き毟るその頭には、ぴこり、小金色の三角耳。/@lotus7ded724c


利き腕に感じる武器の心地よい重さ。恐れも畏れも過剰分泌された脳内物質がみんな期待と高揚に変えてしまった。ひりつく緊張感すら肌に馴染んで心も体もとても軽い。心身の安定を求め、目を閉じて一つ深呼吸。再び開いた眼には輝かんばかりの決意が漲っていた。さあ来い全ての不条理と理不尽。お前たちの全てを砕いて踏み越えて、私は、未来へ。/@puriketsu_or2


月下に閃く剣閃の煌き。剣舞(けんばい)の雅で翻り牙獣の剛さで厄を災いを薙ぎ断ち灼く。女神の振るう力は美しく、そして恐ろしい。恐れ畏れられる夜の女王が神としてあるその理由を、実は皆知っている。刃を振るうのは安寧と安静の闇のしじまを保つための優しさであることを、冴え冴えとした冷たい光は、昼の暖かさに疲れた心を慰めるためであることを。/@xiaoye0104


噎せるような蜜の香り、優しい色合いの花々。柔らかな日の差す硝子張りの温室で、彼女は眠り続けている。その傍らで長い時を過ごす獣たち。安寧の繭を破ることは彼女自身にしかできないけど、傍にいることならできるよ。そんな思いを胸に、それぞれ好き勝手に寝たり跳ねたり。慎ましやかな賑やかさに彼女の瞼がぴくり、動いたのは誰も見ていなかった。/@konorisu_1004





2013/10/20 22:47



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