sweet birthday!(誕生日夢)
※連載主
「よし、準備オッケー!」
ケーキも持った、プレゼントも準備オッケーだし、住所もちゃんと調べてある。後は突撃するだけだ。
「葵?」
「あ、瞬」
玄関の鍵を閉めていたら調度瞬も出かける所だったのか、鉢合わせる。
「瞬は今から練習?」
「あぁ。…しかし、珍しいな。お前がこんな時間から出かけるなんて」
現在の時刻は18時。しかも休日だ。休日は基本引きこもっている俺がこんなに荷物を持って出かけるのだから、本当に珍しい事態だ。
「ちょっと用事があってな。んじゃ、練習頑張れよー」
「あぁ」
バタバタと走り出し、瞬に手を振る。
あんまり時間使うと目的地に着くのが遅れるからな。
−−−−
「ん〜?確か、この辺りなんだけどな」
手に持った地図を見ながら、地名を確認。
「あ、あれか」
ようやく目的地に到着。
「えーと、部屋番はっと…」
部屋番号を確認し、インターホンを押す。
しばらくするとドアがあいた。
「…………」
「あ、衝先生!」
やっほーと言えば、衝先生は有り得ないものを見るような目で俺を見ていた。
その視線、ちょっと傷付くんだが。
「……何故君がここに?」
やっと覚醒したのか眼鏡の位置を戻しながら、衝先生が尋ねてくる。
「え?住所調べたからだけど」
「そういう意味では……」
「冗談だって」
そう告げてプレゼントの包みを衝先生に押し付ける。
「先生、今日誕生日だろ?同志の誕生日なんだから祝いに来るって!」
「これは……」
「この前語ってた時に欲しい、って言ってただろ?」
包みの中身に衝先生の表情が変わる。
マジでギャップ凄いよな、なんて考えてると衝先生がこっちを見た。
めっちゃ目がキラキラしてる。
「折角です、お茶ぐらいはだしましょう」
「俺、ケーキ買って来たんだ。一緒に食べない?」
ついでに、語れたらいいななんて。
いや、だってさ、学校じゃそんなに語れないし?こんな時ぐらいじゃなきゃ、思う存分語れたいからさ。
それに、衝先生のぬいぐるみ部屋も見たいし。
「しかし、君が私の誕生日を知っていたとは驚きです」
「先生たちの誕生日を調べるのなんて簡単だよ?」
だって誕生日が近付いたら女の子達が騒ぐからね。
いやーモテるねー。
なんて言えば顔を赤くして視線を逸らされた。
「しっかし、先生本当に可愛いのが好きなんだね」
近くにあったぬいぐるみを抱き寄せ、部屋を見渡せばそこかしこにぬいぐるみやらマスコットやらが置いてある。流石は同志。なんだか自分の部屋にいるみたいに落ち着く。
「………」
「…衝先生?」
無言でこちらを見ている衝先生にどうしたのか、と首を傾げる。
「…ゴホン、なんでもありません」
「そうか?」
なんか、顔が赤い気がするが……風邪か?
「あ、そういえば」
「どうかしましたか?」
抱きしめたぬいぐるみを触りながらあることを思い出す。
「まだちゃんと言ってなかったなーと思って。……衝先生、HAPPY BIRTHDAY!」
「……ありがとうございます」
そう言えば衝先生は更に顔を赤くした。
sweet birthday !
(ぬいぐるみを抱えていると女性、ですね)
(先生ー?)
(……可愛らしい)
−−−−
どんなにかっこよくてもぬいぐるみを抱えて笑う子は可愛いと思うのは私だけじゃないはず。
二階堂先生、HAPPY BIRTHDAY!
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