投獄されて一体何日が過ぎたのだろうか。


冷たい牢獄に入れられた当初は、現聖騎士のアーサー・O・エンジェルによって傷付けられた足首が時折痛んだ。


悪魔の体か炎の力かは分からないが、通常の数倍いや数十倍以上に自己治癒能力が発達している。
恐ろしいほどの勢いで治癒するものの、その反動なのか後に痛みが走ることがある。
軽症ならそれほど痛まないのだが、流石に肉を切られたとなればかなりの痛みが付いて回る。


だがその痛みもすぐに消え去り、ただ静かに天井を見上げて寝過ごしていた。


地下牢獄が精神的にも肉体的にも辛いものだと知らされるのはそれからだった。


光の届かない地下には時間を知らせる術が無い。
カレンダーも時計も。
太陽も月も。
―…それを教えてくれる”人”も。


朝なのか、夜なのか。
何月何日なのか。
ここに投獄されて何日が経過したのか。


一度考えると、そればかりが頭の中を占領した。
何度も答えのない問いがグルグルと旋回し続けている。
それが気になって眠ることも出来ない。


時間が分からないのがこんなにも苦しいことだとは思わなかった。


それに、人と接することも打ち切られた。
たまに看守らの足音や鍵の擦れる音が遠くから聞こえるものの、自分の牢獄へと姿を見せる者は誰一人としていなかった。
サタンの仔と望んで接しようとする者などいるはずがないだろうが。


言葉を交わす事もせず、ただ寝て過ごすだけの日々。
自分の呼吸音を除けば、耳に届く音などほとんど無い。


時間が経過するにつれ、気力も、何もかも無くなっていく。







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