少女と鳥かご


ふと、意識が浮上した。
まだ完全に覚醒しない意識の中聞こえてきたのは誰かの叫ぶ声。重い瞼を開けると窓の方から片足がない男の人が走ってくる。その周りは酷く騒がしく、スピーカーの向こうからも大混乱だという声が聞こえてきた。

「え...え?」
「キュロスか!!?」

縛られているお爺さんの言葉に、その人は「はい!!!」と答える。そしてその速度を落とさずに真っ直ぐにドフラミンゴの方へと走った。

「10年間!!お待たせして!!!申し訳ありませんっ!!!今、助けに来ました!!!」

その言葉と共にその人は飛び上がり、ドフラミンゴが気付いた時には彼の首は体と離れていた。ゴロりと転がる首に頭の奥がすう、と冷えていく。
なに、くびが、おちてる。
目の前で起きていることが認識出来なくて、切られたばかりの首を見て吐き気を引き起こした。

「う゛、ぇ...」

それでも吐くことは出来ずにひたすらに...耐える。ドフラミンゴの首を落とした男の人は止まることなく周囲の人をなぎ倒し、おそらく幹部なのであろう巨体の男の人も倒してしまった。何が起こっているのか理解するまもなく誰かがまた全速力で走ってくる。

「トラ男〜〜!!助けに来たァ〜〜!!!」
「麦わら!!」
「よかった生きてて〜〜〜〜!!!」
「!!...ここに用はねぇ筈だぞ"麦わら屋"!!!「工場」はどうした壊したのか!!?」
「(ルフィさん...)」

「同盟が切れりゃ また敵同士!!おれを逃せばお前を殺すぞ!!」
「動くな!!!海楼石に触れねェからカギ外すの難しいんだ」
「しっかり!!」
「話聞いてねェだろお前ら!!!」

片足の男の人もお爺さんの鎖を壊したが、ローさんとルフィさんはまだ何やら揉めている。しかしいきなり床が波打ちローさんやルフィさんは床に投げ出され、その間にドフラミンゴの首から下の胴体の後ろに床から大きな顔が現れた。

「...あ!!!石の奴!!」
「ピーカ!!」
「フッフッフっ...予想以上にしてやられたな...」
「!?しゃべ...」
「うわァ!!!ミンゴが生きてるーーーーーっ!!!」

驚く私達を他所に首だけのドフラミンゴはそう言っておもむろに表情を消した。

「これはマズい事態だ...!!鳥カゴを使わざるを得ない...!!なぁ...ロー...」
「.........!!鳥カゴを!!?」

ローさんの顔色が変わる。
鳥カゴって...ドフラミンゴは何をするつもりなんだろう。得体もしれない恐怖に私はただドフラミンゴの首を見つめることしか出来なかった。

−to be continued?

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