少女の諦め


叫んで、泣いて、どれだけの時間が経ったのだろうか。声は枯れて涙も枯れて、濡れていた頬はすっかり乾いてしまった。私は、何を知りたかったんだっけ。こんな事を知りたかったんだっけ。
アレットさんが言っていた自分を保つってこの事だったのかな。

「......」
「ようやく落ち着いたか?」

顔を上げて、自分を見下ろしている存在を見る。私を何度も恐怖に突き落とした人。そして私の血が繋がった人。もう、何を悲しんでいいなんて分からない。何をしたいのかも分からない。知りたかった、心の底から知りたかった事だ。なのに、それなのに、なんで。

「ゆら、このままここにいろ」
「......」
「それが正しい、幸せだ 」

幸せ?
私の幸せって、なんだっけ。
ドフラミンゴの手が頬に触れる、温かい。ぼんやりとその顔を見つめながら黙っていると、正面にあるスクリーンから音が聞こえた。その音にドフラミンゴは振り向く。

「?」
『外壁正面入り口より報告!! 侵入者あり!!侵入者あり!!麦わらのルフィ達を確認しました』
「?」

ドフラミンゴがもう1度スクリーンを見るが、そこには変装しているがルフィさんと思われる選手がコロシアムで戦っていた。

「...何を言ってやがる?あいつは今ここコロシアムで...」
「何を言ってるの?それ麦わらじゃないでしょ?麦わらなら今コロシアムでルーシーとして戦ってるわよ」

ドフラミンゴやメイド服を着た女の人がそう言うが電話の向こうの人は切羽詰まった声で続ける。

「しかしこちらB-2外塔大食堂前にて確認しています!侵入者は麦わらのルフィ、海賊狩りのゾロ、そして...ヴァイオレットさまです!!」
「...じゃあ、今コロシアムにいるあいつは誰なんだ!!一体何が起きてるだ!!」

段々大きくなる音や揺れる建物にドフラミンゴの苛立ちは募っているように感じた。こうなる前に立てた作戦はどうなったんだろうか。考えなきゃいけないことはたくさんあるはずなのだが、薬の後遺症なのか目眩が酷くとても眠い。

ああ、何だかもう、何も考えたくない。

そう呟いて私は素直に目を閉じた。

ーto be continued?

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