それは、とある日の放課後のことだった。
本当に平凡で何にもない、いつもと変わらないような日常的な日。だけど、彼女の感覚では何かが違ったのか。はたまたそれは、思い付きなのか。


「ね、よくわからないよね」
「何が?」

(俺は、吉川のことがよくわからなかったりするけれど)



「トオル、信じるって、何?」
「…また難しい質問だなー…俺もヨクワカリマセン」
「愛とは、友情とは、違うの?大小強弱が、あるの?」
「差は、ないと思う」
「でもやっぱり、可笑しいよ。皆が皆、同じなわけではないんでしょ」
「…」


言葉につまった。



答えをと
待ってますという顔で覗き込んでくる。流石は屋上、風が強くて髪はくちゃくちゃで短すぎるスカートもぱたぱたとはためいている。


「…信頼しているものはしている…じゃ駄目なわけ?」
「もし、あたしが堀に虐められたって泣きついたら、どうするの?どっちを信じるの?…それが差なんじゃないの?」
「お前…なぁ…」



例え話でも不吉だぞ、吉川。
何をそんなに思い詰めているんだ。


「…わからないけど。吉川、お前は馬鹿だ」
「何よいきなりー!トオルも馬鹿でしょーが!」
「ばーか」
「何よー!馬鹿トオ…ル…」


へたりと風ですっかり冷たいコンクリートに座り込み、長すぎる袖で鼻をすんすんならしながら、雫がまた一滴、一滴と。



小さな肩を、大事な物を包むように軽く抱き寄せた。





100513

吉川めんどくせー!
違うんだ、もっと可愛い話になる筈が電波入ってしまった…。
そんな透とユキが好きな訳なのですがー(^^



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