時刻は午前1時38分。カタカタとキーを打つ音が部屋中に響いていた。

折原臨也は情報屋である。それも、この手の世界では名が高い。そうなると、夜遅くまで仕事をしなければならない日も少なくなかった。


「…」


はぁ、とため息を1つ溢すとキーを打つのを止めた。少し目が疲れた気がする。

ちらりとソファーに目をやれば、平和島静雄がそこに寝ている。否、正しくは“平和島静雄の容姿をしたモノ”だった。それは生きている人間ではなく、所謂ロボットとかアンドロイドとかそういった類いのものだ。臨也は彼を「津軽」と呼ぶ。
何故静雄の姿をしているのかは、どうか察してほしい。

その津軽は今、すうすうと可愛らしい寝息をたてて寝ていた。本物の肺なんてないのだけれど。


臨也は心底愛しそうに津軽を見つめていた。

「…津軽…」

そっと手のひらで津軽の頭を撫でると、微かに開いた唇から声が漏れた。


「ん…いざ…や…」


ぽやっとした表情で、臨也の名前を呼ぶと、目をこすりながら起き上がった。


「あぁ、ごめんね…起こしちゃった?」
「ん…別に…。……朝?」
「まだ夜中だよ」
「…そうか」


欠伸をしながら体を伸ばす津軽は本当に可愛くて、その可愛さに思わず臨也は笑みを浮かべる。


「ベッドで寝たら?」
「…1人でベッドで寝るのは、寂しい」
「…そう。残念だけど俺はまだ仕事が残っているんだ」
「…じゃあ待っててやるよ」


津軽がそういった直後、ぐうと臨也の腹の虫が鳴いた。

「あー…今日は夕飯もまともに食べてなかったからなぁ…軽く食べようかな」


そんな臨也の言動に、津軽はきょとんとした顔で臨也に問うた。


「お腹空くのって、苦しいのか?」
「…あぁ、別に苦しくはないよ…」
「臨也はいつもお腹空いてるのか?」
「そんなことはないよ。ただ、今はたまたま空いちゃっただけさ」
「そうか…たまたま…か…」

安心したような、でもどこか切なそうに津軽は着ている和服を整えながら微笑んだ。


「俺、腹が空かないから、よくわかんねぇ」



…あぁ、そうか。津軽は満腹という状態も空腹という状態も知らないのだ。
電気で動いているから、何かを食す必要もない。だから、食べ物を口にしたことがないのだ。

臨也は少し黙り込み、何かを考えるようにしてから津軽に言った。


「津軽。…寂しい時が、あるだろう?」

「…あぁ」

「それと空腹は似ているんだ」
「…?」
「空腹になるというのは、体が動く為のエネルギーを欲しているサインだ。寂しい時も、愛を欲する。似たようなものだよ」



「…臨也」

「どうしたの」


「俺、お腹空いたかも」


津軽のその言葉に臨也は笑った。あぁ、やっぱり可愛いななんて思いながら。


「じゃあ、エネルギー補給だね」


そう言って、優しく口づけた。



(君のエネルギーが俺のキスで俺のエネルギーが君の愛で)






100920

イザシズったーで「通常臨也×津軽島」とか言われちゃったから…つい…。
津軽の設定とかあんまり深く考えてないし、多分固定もしないので軽く流してやって下さい。どうか察してほしい(笑)
とりあえずちゅーさせたかった。電波だと思ったら甘かった。私びっくりした。
臨也が偽物でごめん。
あと多分初めての三者視点でした。


↓おまけ

「んっ…津軽…」
「っ…いざっ…

お腹いっぱいになった」

「えっ」
「なんか眠いわ…おやすみ」
「ちょっ…えっ…」


お腹いっぱいになると眠くなる静雄(津軽)
頑張れ臨也くん!


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